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君の名は・・・

パソコンがぶっ壊れてデータがとんだり、仕事の出張であちこち飛び回ったり激動の2週間が終わった山風でございます。投稿が遅れて申し訳ありませんでした。

今回は少し多めです。

彼は土下座をしていた。

なぜ彼は日本の土下座を知っているかは置いといて、仁王立ちをしている私を前に額を床に擦りつけながら、見事な土下座をしていた。


「もういいわよ頭を上げて、反省しているみたいだし」


私は呆れ顔で彼に告げる。どうやら許してくれたようだ。

彼はパッと顔を輝かせて私に礼を言う。

ふと私は、

(イエス・キリストにすべての罪を赦された罪人の顔とはこう言うのだろうか?)

と思った。


「それでこんな時間に忍び込んでくるなんて、いったい何なの?」


とりあえず疑問をぶつけてみる。

彼はここまで来た経緯を簡単に説明する。どうやら彼は私達、艦魂が見えるらしく今回の件もその絡みで来たらしい、何十年ぶりかに自分の姿が見える人間に会えたのに、最初の出会いがこんなのって・・・


二人の最初の出会いは衝撃的だったが。なんとか少女に許してもらった事で、ジャックは心底ホッとした。


「ところで、君は艦魂?」


ジャックは少女に尋ねる。

少女は、ジャックと眼を合わせながら頷く。


「そう、私はこのエセックス級航空母艦イントレビットの艦魂、イントレビットよ」


イントレビットの自己紹介に対しジャックも、


「初めまして僕は、ジャック・ニコルソン、ジャックって呼んでくれ」


そう言いながらジャックは、そっと手を出す。

イントレビットは、初めて見た艦魂に恐れもしないジャックに少し驚いた。


(大概の人間は私達、艦魂を見た瞬間恐れるものだけど・・・)


イントレビットも差し出された手を握り、ジャックと握手を交わす。イントレビットは出会った最初こそ正体不明の自分を怖がっていたが、今では親しげに話しかけてくる。この青年ジャックの大胆さに感心していた。

ジャックはジャックで、


(最初は怖かったけれど、話してみると案外いい人なのかもしれない、それに顔もカワイイし・・・)


二人はしばらくバラバラな事を考えていたが、ジャックがここに来た理由を思い出し、早速イントレビットに持ってきた写真を見せる。


「こんな型の潜水艦、私が現役の頃には見なかったわね」


即答だった。


「あっ・・・そうですか・・・」


期待一心でここまで来たのだが、見事に予測ははずれジャックは落胆した。


「でも・・・」


そこでイントレビットは含めた言い方をする。


「でも、でも、でも!」


さっきより一転、希望に満ち溢れた顔でジャックは詰め寄る。イントレビットはうんざりした顔をしながら。


「私は見たことは無いけど・・・ンーーー・・・見たことはあるのよ」


とてつもなく矛盾した言葉を彼女はその口から吐き出した。


「?、?、?」


ジャックは訳が分からず混乱している。


「あっ・・・ちょっと待って!すぐ戻ってくるから!」


何かを思い出したイントレビットは体が光に包まれると、その場から消えた。


(もう何がなんだか)


突然の出来事に、ジャックはますます混乱する。


三十分後・・・

再びジャックの前が光に包まれた。


「ハアハア・・・ゴメンゴメン!ちょっと探し物してたら時間が掛かちゃって!」


息を切らしながらイントレビットがジャックの前に姿を現し、片手には何か古ぼけた分厚いファイルを持っている。

艦魂との遭遇は予め覚悟をしていたジャックだったが、こんなにも予想外の事が続くと流石に頭の中が混乱する。

ジャックは頭の中を整理しつつイントレビットに質問をする。

イントレビットは、さっきの光は(転移の光)で艦魂は自身の艦内ならば何処でも、さらに別の船でも近くにいれば、その船の船体にも転移出来るという事だった。


「それでそれは?」


ジャックはイントレビットが持ってきたファイルを指差す。


「これ?これはねぇ、報告書」


「報告書?」


「先の大戦中、太平洋の各地を活動していた、我が合衆国の様々な艦船の艦魂が作った報告書の一部よ、それでここに・・・」


そう言って、その出したファイルを捲っていくと、あるページを開く。


「これは!」


ジャックはそのファイルを手に取ると、そのページに添付されている写真と自分の持ってきた写真を見比べる。


「同じだ!同じ潜水艦だ!」


そこに写っていたのは艤装こそ一部違いが見られたが、確かに見間違えること無いその巨大潜水艦だった。

ジャックは感極まってイントレビットに抱きつく。


「ありがとう!ありがとう!君のお陰だよ!」


「やだっ!何抱きついてるのよ!」


そういうイントレビットは顔を真っ赤にして抱きつくジャックから離れようとしたがなかなかジャックは離れない。

そして再び、ジャックの顔面にパンチを見舞って大人しくさせる。

床に転がって悶絶する。


暫くしてどうにか復活したジャックは、再びファイルを手にしてそのページに綴られている文章を読んでいく。そしてその中の一文に、艦名らしき単語を見つけた。

今までX潜水艦としか分かってこなかったため、これだけでも大きな収穫だった。


「特試巡潜型(とくしじゅんせんがた)?」


艦名の所にはそう書かれていた。


「何かおかしな名前だね、普通名前には人の名前とか地名なんかを使うのに」


ここに来る前に、ビリーから艦名に関する簡単な説明を受けていたジャックは首を捻る。

そこでイントレビットはこの名前について説明する。


「この名前は日本の潜水艦の種別の名前なの、まあ簡単に言ったら戦闘機と爆撃機みたいな」


「うーーん、分かったような分からないような」


「分かりなさい!細かいことはいいのよ!」


イラついた顔をして、イントレビットは強引にこの話題を締めくくる。どうやら彼女も詳しいことは把握していないみたいだった。


「ところでこのファイル借りていいかな?レポートの資料にしたいんだけど?」


ジャックがその言葉を口にした瞬間、イントレビットの顔色が変わる。


「ダメダメダメーーー!これは部外秘書類なのよ!」


ジャックは(じゃあ何で見せたんだ)と言おうとしたが、また殴られそうなのでやめておいた。

一方、イントレビットはその場のノリで見せてしまったなどと口が裂けても言えるものではなかった。

何ともいえない空気が漂う中、ジャックが妥協案を出す。


「じゃあこうしよう、持ち出さなければいいしバレなければいい。だから、僕がこれからここに通うから、その度に見せてよ」


「なにそれ?それでも出来る訳無いでしょ」


イントレビットは反論するが、


「でも見せちゃったよね、部外秘の物を僕に」


こう言われると反論が出来ない。


「わかったわ・・・私の負けね・・・」


しかたがなく了承するイントレビットを見て、ジャックはうれしそうだった。

そして既に外では東の空が明るみ始めていた。
































PVアクセスが4300、ユニークが1100が突破しました。読者の皆様、この拙い私の小説を読んでくださりありがとうございます。

この調子で頑張って執筆活動を続けていきますので応援よろしくお願いします。

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