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イントレビットの怪

お待たせしました~

かなり奥まで進んでみると、さっきは監視カメラの事やビリーとの会話が気が行っていて気にはならなかったが、艦内は照明が落とされ非常灯だけになっている。音も無く、遠くから艦に打ち寄せる波の音が響いてくるだけだ。そうなると急に薄気味悪い感じが、背筋から這い上がってくる。ジャックは段々怖くなってきた。今ここにいるのは自分一人で、ビリーとは連絡はつくが、ここにはいない、変な汗が額と背中から出てくる。

遠くの波の音が呻き声に聞こえてくる。

艦が波に揺られ、軋む音が、人の悲鳴に聞こえてくる。

展示品の影が、人の形に見えてくる。

あまりオカルトや心霊話が得意ではないジャックの心の中は、もう恐怖で一杯だった。

すると生暖かい風がジャックの首筋を通っていく、ここは既に艦のかなり奥で、風が入ってくることは無いはずだった。今度は今まで異常が無かったトランシーバーから大音量で雑音が響いて電源が切れる。ジャックは電源を入れようとするが全く入らない、そうこうしている内に、ふと後ろから気配を感じる。ジャックは恐る恐る後ろを振り向くと戦慄を覚える。展示品の影の間を、白い何かが通り過ぎていったのだ。もうこうなるとジャックには正常な思考が出来なくなっていた。


(早くここから出なければ!)


この一心でジャックは出口に向かって歩を進める。しかしこの願いは脆くも崩れ去ることとなる。唯一上の甲板に通じる通路に、あの白い影が立ち塞がっていたのだ、大きさは二メートルあるだろうか、完全に通路を塞いでしまっている。この光景を見た瞬間、ジャックの心の中の何かが壊れた。


「ウオオオォォォォォォォォ!悪霊退散ンンンンンン!」


意味不明の雄叫びを叫びながらジャックはその影に向かって突撃する。

白い影はジャックの突然の行動に驚いたようで、狭い通路を右往左往する。そこへジャックのタックルが炸裂した。白い影は大きさの割には意外と軽く、その一撃で勢い余ったジャックと共に数メートル吹っ飛ばされた。強い衝撃と共に、白い影とジャックは床に叩きつけられた。そこでジャックは信じられない声を耳にする。


「キャア!」


聞こえたその声は、確かに女性のしかも、少女の声だった。

今、ジャックは白い影に馬乗りになっており、両手で白い影の本体らしき物を押さえつける格好となっていた。


「キャア?」


一瞬、ジャックはその声が何か判らなかった。

これがきっかけとなったのか、ジャックは徐々に冷静さを取り戻してきた。それと同じく白い影も徐々に、ぼやけた姿から何かの形になり始めた。そしてその形は、人形へと変化してき最後には、一人の少女へと変わった。

髪は金髪、腰の辺りまで伸びていて、先端に少しクセがついている。

身長は160センチくらい、歳は18~19と言ったところだろうか。

瞳は南洋の海のような透き通った碧で、目尻が少し垂れている。

ジャックと少女はじっとお互いを見つめあう、彼はその少女の碧い瞳に吸い込まれそうになる。

しかし彼女の瞳は段々潤んでいき、目尻からは涙が滲んでくる。顔色もみるみる赤くなってきた。そして少女は口を開く、


「いっ、いっ、いっ」


少女は何か言いたそうだった。


「い?」


ジャックが何か聞こうとした時、あることにジャックは気が付いた。

なんと両手で彼女の胸を鷲掴みにしていたのだ。慌てて両手を離そうとしたが、自分が離れようとするよりも早く体が離れる。


「イヤアアアアァァァァァァァー」


という悲鳴と共に、プロボクシング選手並みの右ストレートが彼を襲った。


「ゴベばぁ!」


間の抜けたセリフを残し、ここでジャックの意識は途切れた。









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