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元気っ子登場!

この度この作品には元気成分が足りないと言うことで新キャラを投入しました(意味不明)。

クリスマスも迫る十二月下旬

ジャックは再びここニューヨーク、マンハッタンの桟橋に係留されている空母イントレビットを訪れていた。今度はさすがに不法侵入ではなく、ちゃんとした見学者として入館している。

しかしジャックは入ってしばらく館内を見回った所で頭を抱える。


「やばい、イントレビットが見当たらない」


前回来た時はイントレビットの方から出てきてくれたが、普段開館時に彼女が何処に居るかは

ジャックは知らないのだ。とりあえずもう一回探してみることにしたジャックは飛行甲板に向かう。


「この前はゆっくり見学する暇も無かったけれど結構いろんな物があるなここ」


飛行甲板に出るとそこには何機もの航空機が展示されていて平日にも関わらず、たくさんの見物客で賑わっていた。航空機の写真を撮る者、触る者、雰囲気を楽しんでいる者と様々である。


「何イィィーー!」


そんな人々を横目に飛行甲板の周りを歩き出すと、ジャックは信じられない物を眼にする。

展示物の一つである戦闘機の尾翼の翼端に一人の少女が座って海の方を眺めていた。一見、少年の様に見えるが僅かな胸の膨らみから何とか分かる。歳は十五歳くらい、髪は黒のショートヘアで前髪をオールバックにしている。瞳も肌も褐色で、服装はこの季節にはあるまじきTシャツとデニムのパンツときている。見てるこっちが寒くなってくる。展示物の上に座るという行為は褒められた物ではないが、ジャックはその状況に驚愕していた。

なんと、その翼端は海に迫り出しており眼下には冬のハドソン川が広がっている。この高さから落ちれば子供なら大怪我をするだろう、万が一無傷でも水温の低いこの時期に川に落ちれば到底助からない。それなのに普通の大人が見たら絶叫しかねない状況の中、少女は暢気に足を翼端から乗り出しブラブラさせている。

ジャックは周囲を見渡すがこの状況に気付いているのは自分だけであり、尚且つ見物客は女性、子供、老人だけであり救える者のも自分だけであると悟った。

腹を括りジャックは戦闘機の上へとよじ登る。胴体の上はかなり不安定で、立って歩くことも困難だった。しかたなく四つん這いになりゆっくりと進み、何度か滑り落ちそうになったがジャックは何とか胴体後部まで到達することに成功した。

一方、少女はまだジャックに気付く気配は無い。その事に安心したジャックは救出方法を考える。


(いいか、じっとしてろよ頼むから。絶対動くなよ、絶対だぞ!)


しかしそんな願いも虚しく少女はこちらを振り向いた。


「「!?」」


お互いに眼が合う、少女はかなり驚いているようだった。スッと立ち上がろうとする少女を押さえつけようと、ジャックはとっさに飛び込む。しかし伸ばした手にその感触は無い、それどころか自分の体全体を無重力の様な感覚が襲う。そう、ジャックの体は勢い余って機体の上から宙へと放り出されていた。


「ウワァァァーーーー!!」


空中で機体の上に戻ろうともがくが普通の人間にそんな真似が出来るわけが無い。そのまま水面へと落下する。


(ああ、このまま僕死ぬのか・・・。)


今までの出来事がジャックの脳内でイントレビットと出会った事、ハワード議員の力にも屈せず立ち向かった事などが走馬灯の様に蘇る。


(まあ、人を助けた事で死ぬなら良いか・・・。)


水面に落ちる直前、ジャックの顔は安らかだった。



蒼海の女神 ~発見編~ 完


















「あれ?」


しかし、いつまだ経っても覚悟していた衝撃は来なかった。それどころか、いまだ体は宙を浮いている。

正直、自分のこの身に起こった事が理解できない。


ククククク・・・。


突然、横から笑い声が聞こえた。顔を向けるとそこにはさっきの少女が自分と同じ様に宙に浮いている。陽気に笑いながら、


「おっちゃんダメだよー、あたいが居なかったらあのまま死んでたよー」


などとほざいているが、「誰の所為でこんな眼に遭ったんだ」と怒ろうとしたとこである事に気付いて尋ねる。


「もしかして君、艦魂?」


「そうだよ」


即答だった。しかも、


「おっちゃんが姐さんの言ってたジャックさんだね!いやあ、艦魂が見える事しか特徴が無いて聞いてたけど本当にそうだね!良かった!」


相手の逆鱗に触れることををズケズケと言ってくる。きっと嘘がつけない性格なんだろう

、必死に怒鳴りたいのを抑えて。


「ところで姐さんって言うのは?」


「イントレビットさんだよ!」


大体予想通りだった。後で会ったらゆっくり話を聞かないと・・・。





「とりあえず安全な所に下ろしてくれるかな?」


さっきから浮きっぱなしのジャックはそろそろ下ろしてほしいと頼む。


「それもそうだね、浮き話も何だし」


「浮き話って何だよ、立ち話の進化形か?」


「やだー、細かい事は気にしない!」


そして二人は転移の光に包まれ消えた。



床らしきものに足が着くとそこは潜水艦の甲板だった。向こう側にはイントレビットの巨大な船体がそびえ立っている。


「これが君の本体?」


「そうだよ、グレイバック級潜水艦グロウラーさ!そしてあたいがその艦魂グロウラー、よろしく!」


「ああこちらこそ、ジャック・ニコルソンだよろしく」


お互いに自己紹介が終わったところでジャックはグロウラーにイントレビットの居場所を聞く。


「ところでイントレビットの姿が見えないんだけど知ってる?」


「姐さんならきょーかいから出頭命令が来て朝早く出て行ったよ!」


「あれ?艦魂って自分の本体の周りから動けないんじゃ?それにきょーかいって?」


最もな疑問をジャックはグロウラーにしてみる。


「何か艦魂にはせーちって所があって、ある程度力を持った艦魂は自分の本体の場所に関係なく転移できるみたい」


「何だよそのみたいって言うのは」


ジャックがそう言うとグロウラーは顔を真っ赤にして。


「あたいは姐さんみたいに力が無いから行けないの!」


どうやら怒らせてしまった様だった。すぐにジャックは謝ったが、その後しばらくグロウラーはご機嫌斜めだった。

ようやくグロウラーの機嫌がなおったところで今度はジャックがグロウラーに質問攻めに会った。

外の世界はどんな風になっているか、イントレビットとはどういう風に出会ったのかなど根掘り葉掘り聞かれる始末だった。


「!!!」


この質問攻めが延々と続くかと思われたが突然グロウラーは何かに反応する。


「どうしたの?」


「姐さんが帰ってきた!!」


「イントレビットが?」


満面の笑みを浮かべて小躍りするグロウラーのテンションにジャックはすっかり置いてけぼりをくらってしまった。そんなジャックを尻目にグロウラーはまだはしゃいでいる。


「あっ!!」


しかしまた突然何かを思い出した様なグロウラーはジャックの方を向くと。


「姐さんに会いたいって言ってたよね!」


「そうだけど・・・」


「来て!!」


突然ジャックはグロウラーに手を掴まれ強引に引っ張られる。


「ちょっ!まっ!」


「いっくよーー!」


そのまま二人は光に包まれ消えた。









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