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動く人々

やっと次話を投稿できました。しばらく不安定な投稿が続きますのでご了承ください。

太陽が東から昇ってくるのを空母イントレビットの飛行甲板で眺めている二人の人影が在った。


「もう朝か・・・」


「そうね・・・」


ジャックとイントレビットは昇る朝日を見ながらボーっとしながら呟く。


昨夜の内に色々な出来事が立て続けに起こった。

それは二人にとって様々な意味での変化であった。

ジャックは艦魂と、イントレビットは数十年ぶりに艦魂の視える人間に出会った。

この出会いは運命の必然か、それとも単なる偶然かそれは誰にも分からない。


「ねえ、ここで資料集めをするって言ってたけど?これからどうするの?」


「とりあえず今は大学とか行かなきゃいけないからなー。本格的に資料の整理やらレポートの作成は冬休みに入ってからかなー。」


ジャックは今後の方針をイントレビットに説明する。


「でもよかった、ここで君に会えなきゃもうどうしようもなくなってたところだったよ。ありがとう」


ジャックのその顔は忍び込んできた時とは打って変わって晴々としたものだった。なにせ今まで、レポート作成が暗礁に乗り上げていたのにここに来て一気に状況が好転したからだ。


「どういたしまして、でも私も艦魂が視える人間に会えるなんて思ってもみなかったわ」


それを見てイントレビットも表情を緩める。

いつの間にか、かなり打ち解けている二人であった。



「ッ!!」


その時突然イントレビットが飛び上がった。辺りを見回しながら慌てている。


「どうしたの?何かまずいことでも起きた?」


突然慌て始めたイントレビットを見て、ジャックは不思議そうな顔をする。

すると、イントレビットはさっきとは打って変わって険しい表情を浮かべながら。


「どうしたもこうしたもないわよ!早くしないとまずいことになるわ!」


「・・・???。いや、理由を言ってくれなきゃ訳分かんないから」


ジャックのもっともな発言を聞いて、イントレビットはその理由を一気に早口でジャックに伝える。


「今さっきこの空母イントレビットの艦内に開館準備をする航空宇宙博物館の係員達が出勤してきた訳つまり後しばらくしたら館内の係員による開館前の一斉点検が始まるわけだからここに居るはずの無いあなたが見つかれば不法侵入者として捕まって軽くても警察に通報されて逮捕されるかもしれないし最近のテロ対策警備強化の影響でテロリストかその類の何かとしてその場で射殺されるかもしれないのよ!!」


それを聞いて、やっと今自分が置かれている状況を理解したジャックも慌て始める。

しかもジャックは今気付いたが、自分の今の姿は海からイントレビットに忍び込んだままの姿で。

黒のウエットスーツにしかもその体の回りには色々と怪しげな装備を着けたままでいた。これでは、(私はテロリストです)と宣言している様なものだった。その場で射殺されて文句は言えないだろう。


「アッ・・・」


そこでイントレビットは再び何かを思い出したようだった。


「そうよあなたを転移させればいいのよ!」


「えっ・・・。でも・・・。」


「でも、じゃない!さっさとやるわよ!」


そう言うと同時にイントレビットは、ジャックの手を掴むと転移の光を発生させ始めた。


「どこに転移するの?艦内は無理だし・・・」


「大丈夫!艦が接岸しているときだったら。その岸壁まで転移出来るから!」


不安がるジャックをよそに、強制的にイントレビットは飛行甲板から岸壁へジャックと共に転移する。


「いくわよ!」


「ヒイイイイィィィィィーーー!」


飛行甲板の上にいた二人の人影は、眩い光が消えると同時に無くなっていた。そしてその転移の光を見たものは当然いない。




そのころビリーはというと、警察署に連行されてから数時間、自分の無実を警官に証明するのに時間が掛かってしまい。ようやく釈放されたのが明け方だった。

警察署を出たビリーは、あの迷彩4WDに乗って大急ぎでイントレビットに向かっていた。


「ジャック、無事でいてくれよ」


そう呟きながら愛車を走らせるビリー、そしてようやくイントレビットが接岸している埠頭までやってきた。

すると突然車のすぐ前に人が現れたのだ。

ビリーはとっさの判断でブレーキを踏み、車を急停車させる。

派手なブレーキ音が響き車が止まる。

ビリーは恐る恐る前を見る人と車の間隔は数センチしか開いていなかった。あと一歩のところで轢いてしまうところだった。

ホッと胸を撫で下ろすビリーだったが、その人物を見てビリーは再び驚く何とそれは探していたジャックだったのだ。

すぐさま車から出たビリーはジャックの安否を確かめる。


「おいジャック!大丈夫か!」


そうジャックに尋ねると力の無い声で。


「ああ・・・」


とだけ返してくれた。それを聞いたビリーはようやく安心したのだった。




僕はイントレビットに連れられて転移した。転移中の感覚は宇宙空間を漂ってる様でフワフワした感覚だった。

しかしそれもつかの間、次に感じたのは下に引っ張られる重力の感覚であった。開けてきた視界にはコンクリートに舗装された地面が現れ、体はその地面の数センチ上に転移した。

着地と同時に僕が見たものは、猛然と自分に向かって突っ込んでくる4WDだった。

僕は体が動かなかった。一緒に転移したイントレビットも、再転移という行いが頭から抜け落ちているようで着地した態勢のまま固まっている。

僕自身も死を覚悟したが、運良くその車は二人の目前で停車した。

車のドアが開いてその中から出てきたのは、なんとビリーだった。

ビリーは慌てて僕の無事を確認してきたが、特に異常は無かったので何も無いことだけを伝えた。




ジャックの無事を確認したビリーは車に乗ることを促す。

ジャックは車内でビリーに、艦魂には会えたのかと聞かれたので会えた事と同時に重要な資料も見つかった事を伝える。

ビリーはとても満足そうだった。

ふとジャックは外を見るとイントレビットが手を振っていた。

自分も手を振り返す。ドライバーのビリーが艦魂がいるのかと聞いてきたので近くに居ると答えた。するとビリーも彼女に向かって手を振る。

イントレビットもまさか、艦魂の見えないビリーに手を振り返されると思っていなかったみたいでキョトンとしていた。

そして車はワシントンへ帰るために走り出す。


「またいつでも来なさいよー!」


そう言いながらイントレビットは段々離れて小さくなっていく車に向かって叫んだ。

ジャックは窓から大きく手を振って答える。そしてすぐに両者の視界からはお互いが見えなくなった。


「ふわわあぁぁーーー。そういえば昨日寝て無かったわね、戻って寝よっと」


一人埠頭に残されたイントレビットは大きなあくびをすると自分の本体である空母イントレビットに戻っていった。





そして、誰もいなくなった埠頭に何台か駐車してあった車の一台がゆっくりと動き出す。

車内には黒服に身を包んだ二人組みの白人の男が乗っており一人は運転、もう一人は携帯で誰かと話していた。


<<ああ、目標は接触に成功した模様。>>


それだけ相手に伝えると黒服の男は通話を切った。

通話が終わるのを見ると、ドライバーの男は助手席の男に話しかける。


「跡つけなくていいんですか?」


どうやら助手席の男の方が立場が上らしい。

助手席の男は静かに答える。


「ああ、追跡は別の班がやっている。それに見失っても、あの車には発信機が仕込んであるから大丈夫だ。それより俺達は報告に戻るぞ」


「了解」


そう言うと黒服の男達を乗せた車はジャック達が帰っていった方向とは違う方向に向かって走り去っていった。




一方その頃、そんな男達に追われているとも思っても見ないジャック達はニューヨークから一路ワシントンへと車を走らせていた。車内でジャックはご機嫌だった。


「艦魂には会えたし、探していた資料は見つかるしもう言うこと無しだよ」


「なあジャック、艦魂てどんな感じだった?美人だったのか?それであの潜水艦の資料てどんなのだ?」


ビリーもジャックの話を聞いてその内容に興味津々だった。そして、


「これでレポートが完成すれば万々歳だな!」


そのビリーの放った一言で車内の空気が変わる。その発生源はジャックだった。


「・・・。ビリー・・・。そういえばレポートの提出期限て、何時だっけ・・・?」


「何だそんな事か、そんなの明日に決まってんじゃん!・・・・あっ」


二人は固まる・・・。


「急げぇぇぇーーーー!ビリィィィーーー!ワシントンまでぇぇぇーーー!」


「サーッ!イエッ!サーッ!」


二人を乗せた車はラリーの車の様に猛スピードでワシントンに向けて走っていった。






































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