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ある日突然 3



翌日もよく晴れていた。

卵もあるし、今日は山へ行こうか。

山で出会うニワトリ型モンスターは、平原のニワトリ型モンスターより気が荒い。

攻撃力は増すが、運動量が違うせいかその分肉質が締まって美味しいのだ。

急峻な山道を駆け上がるから、なのかも知れない。



出会い頭に、弓矢を射て次々とニワトリ型モンスターを倒し山道を登っていく。

所々で見かけるキノコを取っては収納へしまう。

初心者の頃だったらすぐに一杯になっていた収納だが、レベル上げをして今では結構余裕があるのだ。

獲物のニワトリ型モンスターをぶら下げていてはこの先に進む事は出来ない。

血の匂いにより強いモンスターを呼び寄せてしまう。

まさに収納様様 …… である。



猪型のモンスターをやり過ごし、お目当ての滝壺までくると釣り糸を垂れた。

山の中腹のこの滝壺で取れる鯉は美味しいらしい。

私は食べた事がないが、行きつけの食堂のご主人の依頼だった。

本当は自分で釣りに行きたいが、忙しくて時間が取れないらしい。

何匹か釣り上げあたりを見回すと、だいぶ陽が傾いているのに気づいた。



夜になるとモンスターは格段に強くなる。

私は獲物を収納にしまうと山道を駆け降りて行った。

平原にたどり着いてふと思った。



 …… あれ、そう言えば、セーブポイント無かった。

山に入った辺りに確かあったはずなのに。

というか昨日も、見なかった。

自力で歩いて帰ったので気にもしなかった。

でも、おかしい。



なんだか違和感があった。

薄暗い平原には緊張感が漂う。

私は村へ向かう道を急いだ。

もう少しで平原を抜けるという辺りで、草むらから狼型モンスターが現れた。

構えていた弓矢で仕留めるとその場を離れる。

毛皮は良い値がつくが、仕舞っている間に他のモンスターにこちらが襲われる。



私はひたすら走り続けた。

やっと平原を抜けて村へ向かう街道を歩き出すとホッとした。

なんだか疲れを感じた私はそのまま食堂へ向かった。

依頼の鯉を渡すとたいそう喜んでくれた。

雪解け水の中の鯉は脂がのって美味しいらしい。

釣り道楽らしい主人は氷の中で釣れる珍しい魚の話をした。

 …… いつか釣りたいらしい。



食堂の主人は魚を買い取ってくれた上で夕食を食べさせてくれた。

鯉の身を小さく切って唐揚げにし野菜餡をかけたそれは、とても美味しかった。

すっかり疲れ切っていたのに、いつのまにか回復している。

忙しそうな主人に挨拶すると私は家に戻った。



 …… お風呂に入りたい。

ふと、そう思った。

もうログアウトしなきゃ。

そして気づいた。

 …… ログアウトのボタンがない。





 …… ええっと、何で?







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