ある日突然 1
あるRPGの世界観を借りています。
が、余りよく覚えていないので 「 違う! 」とお怒りの方がいらっしゃるかも。
あくまでもイメージです。
ご理解ください。
不定期更新。ゆるいお話です。お暇な時に読んでいただけたら嬉しいです。
窓から差し込む光の眩しさに目を覚ます。
小鳥の囀り。
明るい陽射し。
起き上がった体から滑り落ちた毛布は荒い織だが肌馴染みは良かった。
硬いベッドから降りるとカーテンのない窓から外を覗く。
予想通りの青い空。
水場の桶に汲み置きの水を水差しから注ぐ。
その水で顔を洗うとぼんやりとしていた意識がハッキリした。
さて、今日は何をしようか。
収納から卵とベーコンを取り出し、フライパンでベーコンエッグを作る。
お湯を沸かしてコーヒーも淹れて。
考え事をしながらでも朝食の支度が出来るのは馴染んだ行動だから。
大きめの木皿の空いたスペースに収納からロールパンを一つ取り出して乗せた。
最後の一つ。
買うか、作るか、どっちが良いかな。
考えながら出来上がった朝食の皿とコーヒーを手に小さなテーブルに運ぶ。
背もたれのない椅子に座って手を合わせた。
「 いただきます。 」
誰もいないけれど挨拶をして出来たてのベーコンエッグの卵の黄身をフォークで割った。
半分くらい固まった柔らかめの黄身をちぎったパンで掬って口に入れる。
…… 美味しい。
そこからは無心で食べ続け、気が付いたら皿は空っぽ。
よほど空腹だったのだろうか。
満足すると共に力が漲る気がした。
湯沸かしポットに残っていたお湯でもう一杯コーヒーを入れた。
朝のコーヒーは好きだ。
なんか、やる気が出る。
…… ああでも、午後のコーヒーも好きだな。
うん。
私はコーヒーが好き。
なんてどうでも良い事を考えながらまた今日の予定に想いを馳せる。
良い天気だし、外だな。
足を伸ばして釣り。
あるいは木の実を採集も良いし。
早めに出れば色々できそうだ。
私は歩きやすい革のブーツを履き壁の弓矢を背にかけた。
腰のベルトには短剣を装備。
村外れの私の家の周りには空き地が広がっていた。
中心街の大通りに出てそれから南へ向かう。
どこへ行くにも一度村の中心街を通る。
面倒だがそれがルールだ。
…… あれ。
私どうしてここにいるんだろう。
今日って休みだった?
今何時?
…… やばい。
あ。
夢か。
夢なのか。
なら、楽しまなくちゃ。
憧れだったんだよね。
こんなスローライフ。
目が覚めて全然違和感がなかったのはいつものゲームの世界だったから。
ユーザーは色々なアバターで王国兵士を目指すもよし、実力主義の傭兵になっても良し。
魔法を極めたり錬金術師になったり、狩人にもなれるし、釣り人なんてのもある。
鍛冶屋や大工、料理人なんて選択肢もあって転職もし放題。
地道な努力を続けるのは得意でも、連携プレーの苦手な私にはもってこい。
まあ、このゲームでもグループで討伐とかもするんだけど。
私は時々。
欲しい素材がある時、くらいかな。