雨宿りからはじめて 7
……うん、やっぱり拠点が必要だね。一人で寝れるところ、病院、お風呂も。元の世界はとても素晴らしいところだったんだなって再確認、色々あるだろうけど、今の形にしてくれて維持してくれるみんなに感謝。
「う~」
「大丈夫?」
激しく動くとまずそうだけど、まあ平気。ドクターチクバさんじゃなくて、手持ちの薬草とか使った方が良かったんじゃないかな……。
いや、でも、チクバさんはその時に最適なことをするはず。ってことは、あんなんでも適切な治療で、そのおかげで痛いけど動けるようになってるのかもしれない。
他の皆は医療技術なさそう、誰も名乗り出なかったし(あるけど隠してたらショックだね)。治らなかったり、感染症になったり、後遺症の危険もあったのか……うん、お医者さんが仲間になってくれるまでは、チクバさんに任せよう。嫌だけど。
「ところで国家建設についてですが、そもそも国家と一口に言ってもその形態はさまざまであり、かつ―」
「ムーラさん、御旗っていうのにあてはある?」
ごめんねゾさん、話が長いから……。
「あるけど、微妙だ」
「微妙?」
ココイソさんがゆらゆらと揺れる。
「私は先方をしっているが……先方は恐らく私を知らない」
「意味がわからない」
「つまりな、御旗は有名人で周りの連中はその存在を知ってる、しかし御旗にとって周りの連中はどうでもいいので名前や容姿を覚えていない……ま、それ以前の問題ということもあるが」
「ん~? どういうこと?」
「国を追われた二代目……暗愚と名高い、ツヨーリ・アバウがその御旗なんだ」
おれたち……うん、傍目にはすっごく怪しい一団は、雨の中を進んでいった。案内人はムーラさん、そのアバウさんっていう御旗のところへと向かっている。
おれが動けるようになっても、すぐには出発できなかった。傘を作るべきだってムーラさんが主張したからだ。彼女は自分のを持ってたけど、おれたちにはなかった。武器とか食べ物とかはすぐに思いついたんだけど、雨具は考えられなかったな……というか、こっちに来てからはじめての雨じゃない?
プリアとかスルグさんは濡れたって平気っていうけど、ムーラさんが強硬に傘をつくれと主張したから、森に恐る恐る入ってエルフに用心しながら葉っぱを集めた。
ハジキギっていうどこにでもある木の葉っぱだけど、これが水をはじく性質があるらしい。ハタネグモっていう子猫くらいあるクモを捕まえて(よくよく考えるとこんなに大きいクモをよく触れるよね)糸でつなぎ合わせて傘っていうか合羽みたいにした。
うん、まあ、隙間から雨がしみ込むよね……即席でできる雨具としては上等なのかな? これもお金持ちならしっかりしたのが用意できるのかも。




