雨宿りからはじめて 5
二本、三本、四本目のところで、誰かに足を払われておれは倒れて避けられ……なかった。姿勢が低くなったせいで、四本目は鎖骨のあたりに突き刺さった。
「ああ! ご、ごめん!」
……いいよ、プリア。それよりも、リロの興奮した騒ぎ声のほうがよっぽど腹が立つ。
「ありがと! でも……それより『黒ノ鉄巨兵』 でみんなの壁に! そ、そのまま……逃げる!」
怖いのは、お腹と鎖骨に刺さった矢がそれほど痛くないってこと。いや、わかってるんだけど、フツーなら死んじゃうだろうしそうじゃなくても痛くて泣きわめくしかないのに平気なのって中々怖いよ。
麻酔されて、腕を解剖されてるって感じ。怖いでしょ?
そのおかげで指示が出せるのがあれだけど。
プリアはどうにか『黒ノ鉄巨兵』を出したけど、まごついてポインさんに矢がかすった。
でも、それ以外はおれが刺されたくらいで、森からおれたちは脱出することができた。しばらく矢は飛んできたけど、街への整備された道へ差し掛かるころにはそれもなくなった。
「『未来を握り合う手』……」
おれは早速チクバさんを呼んだ……正直街へ戻りたくなかったし、この中にそういう治療とか魔法が使える人がいるとも思えなかったしね。
「うひひっ、しゅじゅちゅ、しゅじゅちゅ! ドクター・チクバさん!」
「これまた……強烈だなあ……」
白衣とマスク……ただし、コックチクバさんみたいに汚れてる……血で。ただ真っ赤なだけじゃなくて、少し黒くなってたりうっすら茶色に残ってるのまであってすごく気持ち悪い。お医者さんが不潔でどうするのさ。
神はぐしゃぐしゃ、目は見開いてて、お母さんくらいの年に見える。いくら綺麗な顔でも……怖いよ。
「どれどれ、どの傷を治療しちゃおうかなあ」
おれの体をのぞきこみながら、ドクターチクバさんが鼻息を荒くする……口がすっごくくさい。体を押し付けてて、その……おっぱいの感触もあるんだけど、口と痛みでとてもドキドキするなんていかなかった。
我慢できるけど痛いっていうのも嫌なもんだよ。しかも、放っておくとひどくなるってわかる痛さだもん。
こういう設定も、このリロがやってるんだよね……。うわあ、すごく楽しそうにドクターチクバさんと一緒におれの傷をのぞきこんでるよ。
っていうか、プリアも心配そうに見てくれてるのは嬉しいんだけど、雨に降られてるし巨兵で傘の代わりをしてくれるとかやってくれないかな? 言うより前に解除しちゃったし、言いづらいなあ。
他のみんなも同じ、おれがわがまま……なのかな。
それと、道だから当然あの街に向かったり出て来る人が行きかってる。そういう人たちが横目で見たり無視したりしてただ通り過ぎるのも、心が重くなっちゃうよ。
見捨てられたみたい。




