雨宿りからはじめて 2
「貴君、私から提案なのだが、国を作るなら目立たぬことが肝要だぞ」
「それはどうしてムーラさん?」
「『神訪人』は何かと注目される、不死に加えて女神からの奇妙な術を持っていて、世界統一を狙うものたちからは脅威と見なされることも多い」
そうだろうね、協力する人もいるだろうけど、それはわかる。
「なによりこの戦の世、新興国は既存の国からは目の前に肉が落ちてきたようなものだ。当然、併合のために攻めて来るだろう」
「野蛮ですね、そもそも理由もなく侵略など許されません。侵略側の抵抗と統治後の反撥を招きますし、周囲にも同様の理由での行動を許す―」
このやたらと長話で難しい言葉を使うのがゾさん。名前がゾ。見た目は……長い棒。だってそうとしか言いようがないもん。黒い長い棒が動いてしゃべってる。しかし、どういう世界だとこういう風に進化するんだろう? 人っていうよりも石とか枝とかから進化して……いや、じゃあなんで動いてしゃべって……やめよう、頭がパンクしちゃう。
「そこまではわからんが……ともかく、それがフツーだ」
ムーラさんはこの世界の事を、メニューに載ってる情報とは違った感じで教えてくれる。これはやっぱり、本に書いてあることと実際のこととの違いだろうね。
授業でサッカーがあったとき、オーバーヘッドキックっていう恰好いいのをやりたくて図書室のサッカー入門を呼んだんだけど、結果は頭を打って救急車呼ぶ一歩手前になっちゃった。……ちょっと違うかな? でも言いたいことはわかるでしょ?
「国は急すぎるから、村みたいなのから始めるのはどうかな」
少しづつ少しづつ……チクバさんと一緒、大きい目標は大切だけとまずは目先のことを確実にね。
「ゆーに賛成」
「賛成」
「賛成っ」
「さんせい~」
プリアたちは良いんだけど……問題はやっぱりスルグさんたちだよね。相談は良いんだけど、自分たちだけでやるのは良くない。おれだってムッとするし、プリアたちとの壁があるみたいじゃないか。
「いいじゃん……」
「でもな……」
しかも、このぎゅうぎゅうづめでひそひそ話は無理があるよ、聞こえてくるし。う~ん、おれが言えたことじゃないけど……あんまりしっかりした人たちじゃないのかもしれない。スルグさんがまとめ役で、意見がバラバラにならないのはいいけどさ。
まあ、おれのせいでレベル1、ようやく手に入りかけた立場もなくなっちゃったと思うと、少しは反発も仕方ないんだろうけどさ。
「きみに従おう」
「ど、どうも」
う~ん、それはそれとしてムカつく。




