雨宿りからはじめて 1
「どこに作るかがやっぱり大事よね」
「水は生命線だぞ、川は欠かせん」
「池じゃだめなんっ?」
「池じゃ循環しないでしょ。よどんで綺麗じゃなさそう」
「しかし、水はけだって大事だ」
「食料」
「そうそう~、食べないと始まらない」
「さ、寒くない、いいな」
「無論です。そもそも古来居住区とはよりよい環境の奪い合いにあり、そのために数多の戦いが繰り返されていました。例をあげますとサー・バリシォーイが―」
「きつい」
「だったら一人くらい外に出ようと思わないのっ⁉」
「ゆー、女神たちは狭い所嫌いよお」
「だーっ! テントが壊れるでしょお!」
一言でいうと、ある日森の中テントに11人も詰まってる! 古いやつなんだから破けちゃう!
「そ、そのためにも、国を作るんだ」
「そうだぜっ」
「うっさい!」
いっておくけどおれは出ないぞ! おれがもらったテントだし、そもそも雨なんだから!
なんでこうなったかと言うと、きっかけは街を出るときにさかのぼる。幽霊(スルグさんって言う)たちウェス家側の『神訪人』がいつの間にか合流してた話は少ししたよね?
当然そのままにはできないから、理由を聞くことになったんだけど。
「他にあてがない」
つまるところ、まずウェス家の顔を潰したから報酬無しでお役御免(勝てなかったからウェス家は影響力を失ったわけだし、これは仕方ないと思うけど。勝ったのに厄介払いされたおれたちもいるしね)、そこでアサシンチクバさんにスルグさん以外が、スルグさんは魔法使いチクバさんにやられちゃったわけだから、死んじゃってレベル1からやり直し。
で、そこからどうしていいかがわからない。レベルをまたあげて、メインにサブストーリーをやってって、最初の通りに進んでいけばって思うんだけど、どうも、ウェス家とイスト会の戦いまで、彼らはほとんどレベルあげが出来てなかったらしい(ここで気づいたけど、だから6人も倒してるのに経験値が入らなかったんだ。それこそ、トビウサギを6匹やっつけたみたいなもので、さすがに10を越えてるレベルだと小さな蓄積にしかならないよね)。
そこで、レベルは(彼らからすると)上だしチームを組んでるし、同じ『神訪人』だしで、おれたちと組もうってことになったらしい。
これまでバラバラにプレイしてて、たまたま今回組んだだけらしいんだけど、その一点については意見が一致したみたい。
おれの言うことになるべく従うから、統一についてはゆずれないけどそれまでの協力関係(ムーラさんと一緒)を要求してきたんだ。
けっこう悩んだ、数は大事だってのはわかるけど、信用できるかな? 何しろ裏切られたら大変だし嫌な気持ちになる。このゲームは死んじゃったらすごく巻き返すのが難しいからね。
プリアとムーラさんは、まあいいんだけど。スロポスさんみたいな一時的な加入って感じじゃこれないでしょ? 国作るって感じになってるし。
でも、結局は受け入れちゃった。おれのせいで死んじゃったっていうのが効いたんだよね……不用意なんだろうけど。
こうして、おれたちは11人の『神訪人』の集まりになった。
もっとも、雨に降られてテントに全員避難しないとしのげないような、情けない集団だけどね。
お金はチクバさんのこともあるし、なるべく節約したい。それに、街を出ていきなりだったから別の街に行く暇もなかったんだ。
戻るのは流石に、ね。




