強欲と強欲 5
「もう一度話そう」
スロポスさんはそう言って、プリア、そしておれにもう一度説明するように語り始めた。見た目は怪物だしいきなりおれたちを殺しちゃうような人だけど、何となく悪い人じゃないと今は思えるんだよね。これから先はわからないけど。
かいつまんで言うと、スロポスさんはここ(モニモスっていう国らしい)で暮らしてたところをさらわれて、剣闘っていう戦わせられる見世物に出されるようになったそうだ。
もちろん、殺し合いだから殺されそうになるし殺さないといけなくもなる、扱いも最低、どうにか逃げてきたんだけど、気がかりなのは同じく捕まってる人たちだった。別に世話になったとか助けられたってわけじゃないけど、そのままにしては置けない。
けど、救い出すにしろ一人じゃどうしても無理みたいなんだ。そんなはずないでしょって一瞬思ったけど、考えてみるとおれたちみたいに女神たちの気まぐれは持ってないんだよね。それに、この世界には普通に魔法もあるみたいだ。さすがに何百人相手だと、ただ力が強いだけじゃ勝てないのかもしれない。
っていうか、そうだからこうやって頼んでるんだよね。
「サイドストーリー~かな?」
「ゲームっぽく言わないでよ」
「だってゲームだもん~少しは面白くなってきたじゃなあい」
そうそう、リロはスロポスさんには見えてないみたいだった。だからこうやって話してるのも、おれが独り言を言ってるようにみえるはずなんだけど、彼には全然そんな感じが見えない。こういうのもゲームの都合合わせなのかな?
さて、どうするかな。いや、これまでのゲーム経験から、こういうのはやるべきだと思うよ。経験値(これも実際にゲームの中に入ると変な感じだけど)とか、アイテムとか世界観の情報とかがもらえるから。
問題は、今のおれたちのレベルにあってるかどうか。
「『神訪人』なら、きっと大きな力になってくれる」
メニューによると、『神訪人』、つまりおれたちは|神が放った特別な力を持った異世界からの旅人《・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・》という風にみられてるらしい。
好意的かどうかはまた別みたいだけど。リロを嫌いな人もいるのかな、っていうか見えないのに邪神ってわかるの?
「頼む」
「……どうするの?」
プリア、どうしてこういうときに限っておれに判断を投げて来るんだよ。
「……やるよ」
情報も力も全然足りてないんだ、不安だけどやるしかないよね。