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黒き王の憂鬱 34

「ぜーぶんメインでサイドストーリーなのお」


「はあ?」


「だからあ、存在して死に向かって歩いてるのもストーリー、今こうやって女神たちと話してるのもストーリー、ここはぜーんぶストーリーなのお」


 ……まあ、言いたいことはわかるけどさ。元の世界だってそうかもしれない、朝起きてご飯を食べるのだって、そういうサイドストーリーだと思えば、その通りだろうね。


 人生だって、ゲームみたい……っていうかゲームだろうね。


 案外ここからゲームってできたのかな? ゲームって言っても、ゲーム機でやるゲームだけどね。帰れたら、ゲームの歴史を少し調べてみようかな。


 でも、今はそれよりこの凍ったリロとの時間を進めて、全校集会(・・・・)を終わらせないとね。



 報酬ももらって、解放されて、おれたちはようやく一息をつけた。


 すぐには動く気がしなくて、結局宿に帰って何日かはぼうっとして過ごした(キフォンさんとマイさんもついてきた)。イスト会とかウェス家とかが攻めて来るかもと警戒はしてたけど、何もなく時間が進んでいくだけだった。


 仮にも裏社会の大勢力が失脚したっていうのに、すっごく静かだった。何も知らないでいたら、勢力図が一変したなんて思いもよらないだろうね。イスト会とウェス家の間に、この結果を良しとしなくて小競り合いでも起きるかと思ったんだけど。


 どうしてか興味が……ないな、知りたいとは思えなかった。情報が大事って言ってたくせに怠けてる? 許してよ、どうしても気が抜けちゃったし……うん。


 そうそう、それよりもエイメさんのお墓の事のほうが大事だよ。

ガスドンさんが来てくれて、お墓を用意してくれたんだ。


 おれが知ってるお墓とはだいぶ違うけどね。石があって、家の名前が書いてあって、花とか飾れてっていうのじゃない。


街の外に共同墓地って名前のところがあって、そこがエイメさんの眠る場所になった。ドクトカゲの村から埋めた彼を掘り起こして運んで、何もない原っぱに埋め直して、街の死んじゃった人を記録してる本に名前が残された。


立ち会ったのは、おれたちとガスドンさん、宿の人たちだけ。


……いや、やめておこう。文句を言ったりするのは。これでもきっと、ガスドンさんがやってくれたんだから、普通よりずっといいお葬式なんだろうね。


「墓には手が出なくてな……情けねえ。いい年しても、食うのがやっとだ」


 おれたちは、お金を出さなかった。プリアたちに強制はできないよ、おれほど、エイメさんのことを気にしてはないみたいだし。


 おれ? ……うん、言い出せなかった。嫌だった、エイメさんを気にしてるくせに、お金を出そうと思うと、どうしてもこれからのこととか、自分のことを考えちゃう。


 たまらなく、嫌だった。


 それなのに、こうやってお葬式に顔を出して、言い訳してるみたいで……だって……うん、ごめん。


 わかってるよ、最低だよね。あれだけ言っておいてさ……でも、出せなかったんだ。


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