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黒き王の憂鬱 33

「狡兎死して走狗煮らるるねえ」


「こう……そう?」


「あ、まだ習ってなかったっけ? 要するにね、兎を捕まえてる間の犬はとっても大事にされるけど、全部兎を取りつくしちゃうと犬はすぐに煮て食べられちゃう。必要な時は大事にされても、そうじゃなくなると簡単に捨てられちゃうって意味のことわざだよお」


「兎をなんで犬が捕まえるの? だめだよそんなのかわいそうじゃない。犬を煮て食べるっていうのもひどいよ。飼い犬なんでしょ?」


「あ? ええっと……そうなんだけど、物の例えとしてねえ?」


「想像したら余計に嫌な気持ちになるじゃない。やめてよ」


「う、うん」


 う~ん、不思議な感覚……もやってた心が、リロの変な例えで変な感じになっちゃった。悲しいし嫌な気持ちなんだけど、なんかそれが変な感じになってるみたい。


「と、とにかくう、目の前のイスト会の頭はあ、ゆーたちをなるべく早く追い出したいけどお、それで怒らせるとあれだからあ、探ってるのお」


「嫌な人っ」


「でしょお? 助けた相手に迫害されるのっていいよねえ~」


 良くないよ、最悪の展開じゃないか。


「そこからどうするかが楽しいのお、そのまま復讐、踏みとどまって後から、抱えて我慢。どれもすっごく見どころがあるのお」


「邪神っ」


 まあ、それもありかもしれない。いい悪いじゃなくて、単純にこういうのって相手を馬鹿にしてるよね。復讐っていっても、いきなり攻撃するわけでもないし。あとで困ってても助けないとかね。


 でも……今はいいや。エイメさんのこともあるし、今挑んでも勝てるかわからないし。


 スロポスさんだって数には勝てなかった、この街を掌握しつつあるイスト会と全面戦争は、少なくとも向こうが仕掛けて来てないのにやるのはまずい。


 それとね、トップのおじさんを見てると、なんだか悲しくなるんだ。


 街を手に入れたやくざの親分なのに、とにかく疲れてるようにしか見えない。喜んでる風が全然見えないんだ。


 隠してる……とは思えないよ。むしろ、周りのおじさんたちのほうが活気があるくらい。


 何があるのかはわからないけど、トップにはトップの苦労があるらしいね……ただし、それを知りたいと今は思わない。少なくとも、こう……何とかをするっていうならね。


「その先にサイドストーリーがあるよお」


「わかってるけど、やらないっ」


 それもサイドストーリーのいいところだよね。最も、話の補強だったりいいアイテムがあったりで、やったほうがいいのもサイドストーリーだけどね。


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