黒き王の憂鬱 32
その後にあったのは……なんていうか全校集会みたいだった。いや、本当なんだよ。イスト会の人たちに連れて行かれて、すごく大きなお屋敷に連れて行かれた(イスト会の本部だって後でガスドンさんが教えてくれた)。
そこの集会場におれたちは集められて、出席してるいかにも悪い&偉いって感じの顔と服装の人たちの前で、銀色の髪の疲れた顔をしたおじさんの手渡しで、一人ずつ報酬と感謝を示すってレリーフをもらったんだ。
元の世界で何度か体験した、スポーツとかで入賞した生徒が、表彰状をもらう流れ(おれは賞状をもらったことないけど)そのまんま。
この人が、イスト会のトップなんだって。
「この礼は忘れない。我らは果てようとも彼らを称え続ける」
拍手、起立、礼、着席。
すっごく静かだった。何をして何を言うか流れが決まってて、すべてその通りに動く感じ。これが、エイメさんが死んじゃって、あの戦いの結果? だとしたら……なんか、納得できない。
そりゃ、おれは死にそうな目にはあってない。危ない時はあったけど、怪我はしてないしプリアたちも無事だ。
でも、繰り返すけどエイメさんも、それにウェス家の『神訪人』 も……おれたちだって命をかけて参加したんだ。
そして、イスト会がこの街の覇権を確保した。
涙涙で喜んで欲しいんでもないし、もっといっぱい報酬が欲しいわけでもない。とにかくこう……おれたちが死ぬ気でやったことに対して……ふさわしいものを返してもらいたいんだ。
「無理だよねえ~」
そういう時、邪神はとても楽しそうにささやく。
「あくまで外様の傭兵だもんねえ、イスト会にとっては、これで縁切りしたいんだよねえ」
「待って、エイメさんは実力があれば中核にも食い込めるって言ってたよ」
「そう、建前はねえ。考えてよ、ゆ~。ゆ~が国を作って仲間を集めるって時に、できれば来てほしくないのはどんな人お?」
「? ……性格が悪いとか……乱暴とか……」
「違うよお、乗っ取りを企んでる人でしょお。せっかく築いたものぜ~んぶ奪われちゃうんだよお」
……つまり、イスト会にとってのそれがおれたちってこと?
「強いし『神訪人』だしい、街の支配はもちろん、世界統一のライバルにもなっちゃうからねえ」
用が済んだら、あとは脅威になっちゃったってわけね。……エイメさんは、知ってたのかな? もしそれで良い地位につけても、おれたちがきっかけじゃ、同じように危険視されるだけじゃないかな。
だとしたら……ひどいよ。知ってて、こうなるのも織り込み済みだったら、もっとひどいけど。今頃になって、実はスパイみたいんものだったんじゃないかなんて思っちゃうじゃない。
それを確かめる方法ももうないけどさ。




