黒き王の憂鬱 29
止めに入ろうとすると、パーンとかドーンって音があたり一帯に降ってきた。花火みたいな……アサシンチクバさんの合図⁉
飛び出して空を見上げる。真っ黒な一面に星に負けない赤い花火……『5』5人倒してくれた!
お金も確認……半分だ、アサシンチクバさんは倒されちゃったのは確実。けど、5人も倒してくれた。ということは、残りは一人だけのはず。
「ゆー」
「うん……攻めるよ」
「了解」
「承知ッス」
一気に決めるときは勢いよく、数でも有利だしね。
「俺は荒事自信ねえぞっ」
「同じく」
あ、二人とも来るつもり? まあ、任せっきりよりは好印象だけど。
「いのちをだいじに!」
としかいいようがないよね。指示を聞いてくれるかわからないし、こっちもするのは嫌だから、生き残るのを優先してくれればそれでいい。
「『監定士は嘘を吐かない』」
おれとプリアとで、残り一人のウェス家側の『神訪人』を探る。
相手は一人、このまま隠れてても負けは確定だから、一発逆転を狙って攻めてくるはず。
もっとも、勝てないって諦めるかもしれない。この戦いのモチベーションを、その一人がどう思ってるかはわからないしね。
モチベーション……エイメさん……お墓はいくらくらいなんだろうか?
「ゆー」
プリアに肩を叩かれる。道の向こう側から、『神訪人』の表示が見えてた。もう少しスキルのレベルをあげれば、より詳細にわかるんだろうけど、これでも役に立つ。
「プリアは『黒ノ鉄巨兵』、おれとチクバさんで前衛を、ムーラさんは少し離れてけん制でお願い」
石と木でできたできた巨兵が立ち上がり、おれは剣、チクバさんは拳、ムーラさんは鞭を構える。やっぱり数は大切だ、相手を上回ってるとそれだけで気持ちが楽になるもの。
「先手!」
巨兵の一撃が振り下ろされて、家を数軒と道を破壊する。質量攻撃は圧倒的だね。
「外したよお」
リロの囁きよりも早く、おれはそれを姿を現した『神訪人』を目でとらえて理解した。
おお、すごくフツーの人(おれから見ての人)っぽい。血みたいな赤毛の長髪、真っ赤なジャケット、仮面……仮面⁉ 白い狐のお面……ま、まあそれはいいさ。すらりとしてて、足はなくて……幽霊? 幽霊みたいに、足(?)が透けてて……幽霊なの? 浮いてるし。滑らかなスライド移動で、おれたちにすいすいって迫ってきてる。
「ゆー!」
うわっと、チクバさんに背中を叩かれた。けっこう痛い。けど、少ししゃっきりした。相手がどんなであれ、倒さないとだめだもんね。




