黒き王の憂鬱 27
「それもあるけど、二人のことも見落としてるよねえ」
「どういう意味さ」
「フツーの人ってこと」
「?」
「だからあ、全員が全員戦いに慣れてるわけじゃないでしょお」
あ、そうかそういうことか。プリアのこともあって忘れてたけど、おれと同じように戦争とは(一応)ほど遠い日常を送ってた人だってそりゃいるよね。
ほむらさんは……雰囲気的に手慣れてるけど、この二人がおれみたいに学校行って家帰ってみたいな生活してて、これまでもあんまりイベントも戦いもやってなかったんなら、そりゃ慣れてないよね。
そんな状況で、自分から動けないよね……。おれみたいに、プリアとすぐに会ったわけでもないし。……うん、ごめん。
「よし、じゃあ作戦を説明するね」
まずは、『未来を握り合う手』。
「アサシンチクバさん登場」
「う~ん……」
アサシンって暗殺者だよね? いや、その、格好がさあ……。さらしを胸まで巻いて、下は工事現場の人が履いてるみたいなズボン。長靴。すごいカラフルな刺青。ポニーテールの赤髪に、眼帯付けた(美人だけど)怖い顔。むき出しの刀と古いっぽいピストル……これやくざじゃない? いや、状況的にはあってるのかな?
「なんだよなんだよ、その態度はよ~」
「アサシンって格好じゃないし、話し方もヤンキーみたいだよチクバさん」
「かあ~、人を見た目で判断するかねえ? チクバさんは悲しいよ」
むむ、先週のリロとの会話を知っているかのような一言……ま、偶然だろうけどね。
「ごめん。でね、チクバさん……」
「わーってるわーってる、いっちょやってくらあ。おっ死んだら花火上げっから、そこに出てくる数字が、やっつけた人数だかんな」
軽く言って、アサシンチクバさんは闇に消えていった。まあ、その力はほかのチクバさんで十分にわかってるし、心配はしてない。
心配なのは、おれのほうだしね。
もういっちょ、『未来を握り合う手』。
「お久ッス」
どうも、格闘家チクバさん。
「おれたちと一緒に、迎撃を手伝って」
「了解ッス、少しはわかってきたじゃないスか」
「どうかな……」
さて、つぎはプリアたちに再確認するため、キフォンさんとマイさんに説明するためにも作戦をもう一度口に出していこう。
「プリア、ムーラさん。作戦はこれまで練った通りでいくよ」
トレーニングには、作戦を練るのも含まれてたんだ。時間があったんだし、それぐらいはしないとね。
「アサシンチクバさんにウェス家の『神訪人』を任せる。今のチクバさんはおれの出せる最高の戦力、それでどれだけいけるかで相手の強さをはかる」
プリアの方が力は上だけど、目立っちゃうし弱点も勘がいい人だとわかっちゃう気がするんだよなあ。あと、判断がいまいち遅いから……要するに、たぶんおれの方が強い。
ムーラさんは、このゲームの人だからさ……ほら、死んじゃったら、たぶんそのまま生き返れない。だから、なるべく安全にさせてあげたい。それじゃ戦力にならない? わかってるよ、でも、エイメさんのこともあるし……そうだよ、バカだよ。悪かったね。
「数をある程度減らせれば、それからは全員で一人にかかって確実に倒す」
かといって、おれだって死にたくはない。その上で、アサシンチクバさんによる暗殺&残りを各個撃破っていう作戦にしたんだよ。




