黒き王の憂鬱 26
それでも、何もしてないよりはましだろうってことになって早1週間、とうとうその日がやって来た。
夜中、文字通り人気がない古い建物が並んでるゴーストタウン、旧市街の一角におれたちは集められた。結構不気味だよね、モンスターがいるなら、幽霊とかもいそうだけどどうなんだろう。
実は、これまでに妨害とかそういうのがあるのかなって思ったんだ、ほら、ウェス家からさ。こういう大会ではライバルとか、賭けてる人からの横やりがつきものじゃない。それで、怪我をしちゃったりして本番に影響が出たり、それをものともしないで……ごめん、脱線しちゃった。
ともかく、そういうのなし、万全の状態でおれたちはこの場に立ってられた。ガスドンさんがちゃんと傷薬とかは用意してくれたし、武器も防具も手入れをしてる。
これが結構面倒くさいんだよねえ……リロの言う『女神の皮膚』が手入れや重さが本当にないんだったら確かに便利。放っておいても錆びたりしちゃうんだよ?
ま、今はそういうわけで戦いの場に立ってる。
「どうするのよ?」
「判断は任せるぞ」
「さっさとしろっ」
「あんたは何さその態度」
「あはは~、さっそく混乱してるねえ」
問題しかないけど。
まずは開始と同時に、ほむらさんが勝手にどっかに行っちゃった。そりゃあ、別におれたちと一緒にいる必要はないけど、一応チームなんだし、一人でやるなら一言いえばいいじゃん。ねえ?
次に、おれがどうしてか作戦を立てなきゃいけないこと。ムーラさんは、おれの指示に従うって言ってきたんだ。
「いいの? おれ……あんまりそういうの経験ないんだけど?」
「構わない、命令系統は一つに絞った方がいい。よほどの異議がない限り、私は従う」
プレッシャーだなあ、言ってることは正しいんだろうけど、おれより(恐らく)経験豊富なひとに命令するのは、プリアと違ってやりにくいよ。同時に、いざって時に従ってくれなかったらって思っちゃう。
3つ目、喧嘩したはずのキフォンさん&マイさんが、どうしてかおれの動きを待ってる風になってる。いや、前回のあれの流れだと、どう考えてもそのままバラバラで動く感じじゃない? なんで?
それとマイさん、その体どうにかなんない? 夜に燃えてると滅茶苦茶目立ってるんだけど? 明るくていいけど……絶対に的にされちゃうよ? でも、気にしてたら言うのも悪いかな。
なんでこう、最初からスパッといかせてもらえないんだろう?
……リロが楽しいから、に行きつくんだけどさ。




