黒き王の憂鬱 22
しかし、元の世界(それぞれのって意味ね)ではどんな生活……っていうかどんな社会だったんだろう? 合体虫の人は、まあわかるんだよ昆虫人間ぽいし。でも、影の人と炎の女の人は……ごはんとかどうしてるんだろ? そういえば燃えてるのに熱くないけどどういう仕組み?
うっ、ガスドンさんに肩を叩かれた。
「おい、挨拶くらいしろい」
あ、そうだった、これじゃ失礼だよね。
「は、はじめまして、寧場友です」
「同盟者プリア」
「同じくムーラだ」
「キフォン」
「……ほむら」
「マイパパ、よろしくね」
沈黙。気まずいなあ。
とりあえず挨拶の様子から、炎の女の人マイさん(パパってどうしてもお父さんを思い出しちゃうから)は結構友好的かな? 逆に昆虫人間のほむらさんは、愛想がよくないとおもうよ。
それと、確かガスドンさんとエイメさんの話だと、おれと同じくらいの子供しかいないって聞いてたけど、3人ともこれで子供?
「いいか? 決まってることを伝えておくぞ」
ガスドンさんが沈黙を破ってくれた。
「1週間後、決闘をやる。場所は旧市街の一画、朝から入って夜明けまで戦ってもらう。お互いの会が選んだ代理人どうし、立ってた人数が多い方が勝ち、ルールはそれだけだ」
街の裏社会の優劣を決める抗争のことだね。それにしても結構急だね。
「ようするに、イスト会側の連中を殺すか気絶させる必要がある。これは憶えておいてくれ」
物騒……なんてのはもう場違いだよね、そういう世界だし。
「他は何しようと自由だ。ただし、一度区画に入ってから離脱は認めねえ。あとはあんたらに全部任せる。もちろん勝って欲しいが、負けたらひん剝くなんてこともしねえ。ただし、参加を決めた後に逃げ出すのは許さねえ」
なるほどなるほど……ちらっとプリアたちを見たけど全然どうじてない。やっぱり、心構えが違うのかな?
おれ? そりゃやりたくはないけど……エイメさんのことが、あるからさ。うん……要するに、やらなきゃって思うんだよ。わかってくれなくていい、うまくいえないおれが悪いもの。
「私は『神訪人』ではないが、参加は可能か?」
あ、そうだ、ムーラさんはそうだったんだ。
「……上に聞かねえとわからんけどな、たぶんゆーの部下として扱われるぞ。当然、報酬はゆーに対して出るから、あんたが手柄を立てても考慮されねえ」
「そうなんですか?」
それと、いきなり名前呼び? う~ん、なんか落ち着かない。
「わざわざ『神訪人』集めてやってるからな。そうじゃねえ奴でもダメってわけじゃねえが……まあ、そういう雰囲気ってこった」
「基本的にゆーたちの方が強いからねえ」
「おいおい、女神様がなんでこんなとこにいるんだよっ?」




