黒き王の憂鬱 20
結局、それから3日間おれたちは待たされた。他に行くところもないから、エイメさんの紹介した宿に戻ったわけだけど、どうにも家族とまではいかないけど親しい仲だったみたいで、受付のおばさんのすすり泣く声が聞こえてきて滅入っちゃった。
薄情かな? でもね、わかって欲しいんだよ、自分で悲しんでみてもそれが他人にどう見えるかは別問題だって。悲しいのは本当だよ? でもね、どうしてか、この泣き声には同意できない。
自然に、寝るまでは外に出てるようにした。まあ、買い物ができてよかったけど、あんまり宿屋にいる意味がないよね。
「こっちがいい」
「高いわよ」
「だが、こっちよりも効果がいい。安く済ませるのは大事だが、かといって効果が薄くては意味がない」
で、色々まわってるわけだけど、ムーラさんは薬草や解毒剤の選定に結構役に立ってくれてる。『監定士は嘘を吐かない』でもわかるっちゃわかるんだけど、そればっかりだと味気ないしこれはいいよね。
経験豊富っぽくて、細かいことをよく見てる。同じ宿に泊まってるけど、ちゃんとお金も自分で払ってるし。うん、結構好きかも。
今回は装備は村でもらったやつをしばらく使うことにして、前述の薬草や食糧を揃えることにした。乾燥食糧はおいしくなさそうだけど、腐らないのは魅力的だよね。
あ、そうそう、ここでの薬草は食べるタイプみたい。食べると緑色の光が傷口を覆って治してくれる。質が良いほど早いし深い傷にも効いてくれる。ずっと前から、ゲームとかでどうやって回復してるのか不思議だったけど、なるほどこれならわかりやすい。
「他にもスタミナとかあるけどねえ~」
どうしてそんな面倒くさいこと、なんて聞いてあげないよ。この魔王が楽しむために決まってるんだから。
結局、面倒くさいのはリロがそう作ったから、で終わっちゃうんだよね。それを怒ってみても、どうにもならない。もう何度目かのそういう結論に戻ってきちゃう。
他にも、街を回っても見た。地理を覚えるのはだいじだってムーラさんに言われて、ちょっと疲れたけどどこに何があるかを把握しようとしたんだ。全部は無理だったけど、確かに門がどこにあるか、宿からはどう行けばいいかどれくらいかかるかを知れたのは良かった。
何かでみたけど、知らない土地とか建物にいったら、非常口を確認するのが大事っていうのがあったよね。
他にも警備兵や軍隊の駐屯所とか、この街の庁舎(でいいのか?)があったりして、元の世界と似てるところもあるのは面白かった。




