黒き王の憂鬱 18
ずっとずっとこうして……いや、帰りたかった。家に帰りたい。お父さんお母さんに会いたい、おれの部屋で寝たい、やだやだ、ここはやだ。
でも、帰してはくれない。おれをここに連れてきた邪神は、目を輝かせて真っ赤な顔でおれを見てるだけだ。涎もたらしてる。
何が楽しいのと叫んでも、殴っても蹴ってもまったくこたえない。悔しい、悔しすぎるよ。
それを、どうにか活力にして立ち上がる。
呪っても恨んでも、そうするしか道はないんだ。
……なんでこんなことを、ゲームで味合わないといけないのさ。
それから後は、まああまり言いたくないけど、エイメさんはその場で埋めた。お墓を絶対に持ってないってムーラさんの指摘があって、そうだろうなっておれも確信しちゃったから。
本当は運んでいってあげたかったけど、どこへ? 腐っちゃうのを遅らせるスキルも、アイテムもない。
そういう世界ってわかっててはいても、お葬式も何もないのはひどいよね。だから、わかるだけやってみたんだけど……うん。
後で必ず、お墓を作ってあげる。木の枝でできてるのじゃなくて、おれの知ってるお墓。
村へ報告にもいったけど、すっかりお祭りの準備中だったのもすごく嫌だった。どこからドクトカゲをやっつけたのがわかったんだろう。
感謝はされたよ、報酬も、でも……エイメさんが死んじゃったのに楽しそうなのは(ドクトカゲの脅威がなくなったことに喜んでいるのはわかるけど)、どうしても……ねえ。
「そういうものなのねえ」
リロの言う事は無視……したくても、事実だからできない、こればっかりは。ものすごく物騒で治安が悪い(同じ意味かな)、戦争真っ最中の世界におれはいる。
そして、元の世界みたいに一応の平等や尊厳だってないんだ。
戦国時代……とかはこんなに殺伐としてたのかな? でも、だったら、まだ戦国時代にタイムスリップしちゃったほうがマシかもしれなかった。
ともかく、お祭りに誘われたのを強引に断っておれたちは戻った。ごちそうの山をみてるだけでお腹が変になって、笑ってる人たちを見てるだけで剣を振るいたくなる。
アイテムも返……せなかったのが情けないよ。プリアにやめておけって言われて、おれもそれが正しいってわかっちゃった。
はあ……おれって、何しに来たんだっけ? どうして、素直にサブストーリーのサブストーリーをさせてくれないの? どうして、こんな悲しい目にあうのさ。
ひとつだけ、収穫があったとすれば―
「そうか、貴君ら『神訪人』だったのだな」
ムーラさんが、どうしてかそのままついて来てることだった。




