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黒き王の憂鬱 16

「―‼」


 叫ぶドクトカゲに、『黒ノ鉄巨兵(ノアシャトゥ)』のパンチが直撃した。


「口と向き合わなければいいのよね⁉」


「毒あるから!」


 プリアが巨兵でドクトカゲの首を折にかかった。トカゲも暴れてるけど、力ではプリアの方が有利っぽい。


 尻尾を振り回して、木を何本も砕きながら弾き飛ばしてる。森に何本も、近づくのは危険だけど……


「プリアを援護するよチクバさん!」


「うっせ!」


 チクバさんは銃、おれは剣で少しでも抵抗を妨害しに動いた。もちろん、死んじゃう訳にはいかないけど、こっちの方が早く決着がつくからね。


 体を支えてる後ろ脚に銃弾を撃ち込んで、おれは剣でちょびちょびっと削り、ムーラさんも鞭を打つ。流石に痛いよね。でも、そっちに気を取られるとプリアにやられる……。


「―」


 ボグッって音がして、トカゲの体から力が抜けた。


 まだ少し動いてる、けど、もう一度ボグッがあって、それも完全になくなっちゃった。


 『黒ノ鉄巨兵(ノアシャトゥ)』がしめあげてるトカゲの頭は、怖い方向に曲がってた。首が折れちゃったんだ。二つの口から、とろとろって毒とも唾ともつかない何かが垂れてる。


 不謹慎だけど、人じゃない分少し楽かな。


「プリア、念のためもう一回」


 ここで安心して近づいたら生きててパクッ、なんてこともあるしね。巨兵がもう一回、念を入れてかもう一回首をボグッして、ようやくおれたちは武器を降ろせた。


「お疲れ様~」


「少しは役に立ったじゃねえかコノヤロー」


 おお、チクバさんから褒められた? 感動に浸る間もなく消えちゃって、お金も半分になってるけど。ここは甘かったかな。


「ゆー」


「プリアもありがとう」


 巨兵を解除してプリアが駆け寄ってきた。もちろん笑顔で握手で応じたけど、なんか物足りなそう。腕広げてたけど抱き着くつもりだった? でも、そこまでかな?


 ムーラさんも、服装をただして頭を下げてくれたから、おれもそう返した。礼儀がきちんとしてるのって、やっぱりいいんだね。向こうじゃ面倒くさいって思ってたけど、こういうのが当たり前なのがいい世界なのかもしれない。


「ところで、報酬のことだが」


 ……いい世界をすぐダメにしちゃって。


「山分けって話じゃなかった?」


 欲をかいてもっとよこせっていうのかな。嫌だなあ。


「そこじゃなくて、ドクトカゲの素材のことだ」


 素材?


「皮膚、肉、爪、骨、村に所有権があるが、私たちで少しばかりもらっても良いだろう?」


「えっと……」


 だめだ、これはこの世界のそういう仕組みのことだ。メニューを開いて確認するよりも、エイメさんに来てもらった方が早いな。


 まだ隠れてるのかな? 静かになったし出てくると思うんだけど……。


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