黒き王の憂鬱 12
で、今おれたちは工場とは打って変わった一面の畑に囲まれた村にいた。
説明は……まあいいでしょ、結局ソウトウドクトカゲを受けたんだよ。あ、色々言うのはなしで、おれなりに考えたんだからさ。
ついでに道中も省略省略、丸一日かけて歩いてきたんだから。早くテレポートとか習得したいな……というか、それが一番大事かもしれない。これじゃゲームの半分以上も移動にかかっちゃうしね。
村の名前……ここも名前ないんだよね、強いて言えば、ナナイロブドウがいっぱいあるから、『ニックライのブドウ村』かな?
名前の通り、このブドウは七色の複雑な味がする。というとおいしそうだけど、実際はこれって味が安定してないってことで……うん、すっぱい。フツーのブドウが一番だと思うんだけどなあ。
ともあれ、この村について、ソウトウドクトカゲの討伐のことを話して、おれたちはその寝床がある川辺へ向かった。年よりも
『神訪人』であることに驚いてたから、おれくらいで命の危険がある仕事をするのは珍しくないみたい。……嫌な世界だよもう。
まあ、良かったことは、村が協力を惜しまないでアイテムに装備、テントまでくれたことかな。報酬がいいのも、ただソウトウドクトカゲが危険なだけじゃなくてお金があるからみたいだ。
特に装備がありがたかった、使い古しだし良いものじゃないけど、これで一応おれたちも格好がそれっぽくなった。
「ドクトカゲは、ドクトカゲは、ドクトカゲは、いつくるんでしょうね?」
と、いいことばかりじゃなく、不安なこともある。
エイメさんが、どうしてかついてきちゃってるんだ。
「ねえ、エイメさん、やっぱりせめて村で待ってれば……」
「だめ、だめ、だめ」
彼によると、自分が選んで推薦したんだから最後まで責任を持たなきゃダメなんだって。もちろん、そうじゃないとお金がもらえないからってのはある。にしても、こんな危ないところにまで出てこなくていいじゃない。ねえ?
それに、腕がいいようには見えないんだよね……。『監定士は嘘を吐かない』でも一般人そのまま、魔法も武術も使えない。
なのに、ついてくるって聞かないんだ。すごいエネルギッシュ……そんなに報酬がいいのかな?
「私が、私が、私が、そういう性格なだけです」
う~ん、ガッツがあるともすごいハングリーともいえるし、そもそもやくざと繋がりがあるんだから良い人じゃないんだろうけど……なんか嫌いになれないよね。
それと、村も本気で困ってるみたいだし、ここはドクトカゲをきちんと退治しようか。プリアもいるし、きっと大丈夫だよ。




