黒き王の憂鬱 9
と、思ってたけどエイメさんとゴリラが話し終えると、そのまま工場の中に通された。周りの人たちも特に何かをしてくるわけでもない。
工場、たしか車のだったと思うけど、前に学校の授業で連れて行ってもらったことがあった。機械と車がの部品が並んですごかったけど、たしかオイルだかなんだかの匂いがすごかったんだよね……おれは大丈夫だったけど、大原くんが気持ち悪くなって帰るのが遅くなったんだっけ。
……友達ってわけじゃなかったけど、元気かな大原くん。
で、このニックライの街にある工場だけど、あれとは全然違ってた。机がいっぱい並んでて、外の荒れかたに比べるとすっごくきれいだ。いや、宿屋よりきれいかもしれない。
使ってるのか? だったら何を作ってるのかな?
「こんにちは~」
エイメさんが呼びかけるのよりちょっとだけ早く、いかつい男の人がやってきた。
間違いなくやくざだろうね。顔がほら、神社……お寺だったっけ? によくあるあの犬の置物にそっくりっていうか、そのままのすごい顔だった。いや、本当にそのままなんだって。お父さんよりは年がいってそうだけど、おじいさんよりは若いくらいかな。
ずんぐりしてて、真っ赤な上下の服をきてた。実際には違うんだろうけど、スーツを想像してもらうとわかりやすいと思う。それにしても、こういう人たちの服装ってなんかそういう決まりがあるのかな?
「ガキじゃあねえか」
う~ん、声もいかにも悪そうだね。がらがらで低くて、悪の組織の幹部って感じがする。一度そういう悪い人たちを集めて、声まで悪そうかどうか確かめてみたい。
「でも、でも、でも、今までもそうじゃないですか?」
お、重要な情報発見。どうやら他の『神訪人』もおれと同じくらいみたいだね。
「そりゃそうだがよお」
「まずはお試しを」
顔がすごい人はうんうんとうなずいてから、おれたちの前に立って頭を下げた。礼儀正しい人はいいよね。
「あんたらを受け入れるかどうかを判断する、ガスドンってもんだ」
それっぽい名前だね。いかにもガスっとしてドンってなってる。
「試験があるってきいてたけど、なにをするんですか?」
「この中から、一つ選んでそれを達成してくれ」
そういってガスドンさんは4枚の紙を出してきた。なんか新鮮だねこういうの、今までずっと森の中だったから、この世界にも本とか文字とか紙があるってすっかり忘れてた。
『統一見識補正』のおかげで、書いてある文字もしっかりわかる。ええと……モンスター駆除のお願い?




