黒き王の憂鬱 6
「で、ウェス家のほうが勢いはあるんですけど、正直おすすめできませんね」
「どうして?」
「有利なだけに、今行っても足元を見られちゃいます。一方、一方、一方、イスト会は不利なぶん有難がってもらえます。それに、ウェス家は排他的ですからね、勝ってもあとあと疎ましがられて冷遇されます。イスト会なら実力があれば中核に食い込んでいけます」
いや、目的は世界統一であって別に取り入ろうとは……そういえば、この最終目的についてはこの世界の人たちはどう思ってるんだろう?
「はいはい、そこがこのゲームの面白いとこなのお」
「また変な事してるんだね……邪神っ」
「聞き流してあげるう。ここの住人はあ、全員が天下人なのお」
「はい?」
「だからあ、全員が天下統一したいと思ってるのお」
「ええ……戦国武将じゃないんだから……」
「そうじゃないと戦争が起きてくれないもん」
「は?」
「いい? こういうゲームの内政とかも面白いけどお、やっぱり一番は戦争やってるところなのお。だから、戦争するように、この世界の誰でも自分が世界統一したいって思うようになってるのよお」
うわあ……。
「ちょ、それ、ひどすぎない?」
「なんでえ?」
「なんでじゃないよっ。ここの人たちは、争うように仕向けられてるってことじゃないか」
「ゆーの世界だってそうでしょお」
「そ、そんなことないよ」
「あるよお、大小はあるだろうけどお、闘争本能ないと生きていけないものお」
「む……で、でも戦争なんか……」
「やってるでしょお?」
「も、もういいよ!」
怖くなってきた……本当に、元の世界にはそんなのなかったよね? だって、そうじゃないと……も、もうやめよう。
「それにしちゃ、ずいぶん平和じゃない?」
プリアの言葉に、リロは肩をすくめてみせた。
「バランスよおバランス、これが一番バランスいいのお。起きすぎてもつまんないし、なさすぎてもつまんないのお」
「やっぱり邪神だね……」
好き放題にリロにされてるわけだよ……ゲームってこんなに怖いものなのかな?
「で、どうしましょう?」
おっと、そうだリロとしゃべってる間は時間が止まってるんだった。エイメ……さんは要するに、おれたちを売り込んで報酬が欲しんだね。
「えっと、その、ほかの『神訪人』に会ってみたいんだけど?」
よし、これなら参加するって言ってないし、最初の目的も達成できる。我ながら結構いい流れじゃないかな?
「ん~、確かに確かに確かにそうなんですけどお、ちょっとわたし的には困っちゃいますね」
む。
「チンピラですからねえ、結構そのお願いするだけでも身の丈を越えちゃってるんですよ。それで、それで、それで、やっぱり参加しませんってやられちゃうと……ねえ?」
それはそっちの事情でしょ。って言いたいけど、そう言い切れるほどおれたちも真っ当なわけじゃないよねえ。
「ちなみにこれ、サブストーリーだよお」
「そうだろうね」
リロに言われなくてもわかるよ。




