黒き王の憂鬱 5
受付から部屋から緑の人にやられて、おれたちはあれよあれよって部屋に通されちゃった。押しが弱いって損だなあ。ご丁寧にお茶とお菓子まで出されて、もうこれは逃げられない。
「けっこういけるわよ」
プリア……せめて緑の人が食べてからにしてよ……毒だったらどうするのさ? ん? でも、こういう風に考えるおれのほうこそ失礼かな。
「それで、なんですか?」
誤魔化すのにおれは緑の人に振った。彼はかしこまって頭をさげてみせた。
「エイメ。これからよろしく」
うむむ、まずい。しばらく同行するつもりみたい。
「まあ、チンピラですね。危ない男。でも、あなたたちの助力になりますよ」
「はあ」
こういっちゃなんだけど、話し方うまいよね。すらすらって……お笑い芸人が司会してるみたい。親しみがあるっていうか。
「ウェス家とイスト会の勢力図はほぼ5:5、あなたたちの参加でこれが崩れると思うんです。だから報酬もウハウハ……」
「待って待って……その、大体はわかってるんだけど……詳しく教えて欲しいかなって」
「ああ、ああ、ああ、それもそうですね」
エイメという人の説明はこうだった。
この街の黒社会は2つの勢力が拮抗してた、ウェス家とイスト会、片や血縁で団結が強固な老舗、片や身軽さが売りの連合。街でも時に利用し時に抑制してずっと続いてた。
で、何回目の代替わりで、とうとうどっちが上かを決めることになったらしいんだ。それまでの戦いとか利益の奪い合いで火種はあったんだけど、それが限界にきたんだって。
小競り合いが多くなって、街でもとうとう決着をつけなさいってことになった。
勝ったほうがこの街の顔役になる、負けたら立ち去らなきゃいけない、応じなかったら勝者と街の二つから攻撃される。
こんな簡単なじゃなく、実際の内情はもっとぐちゃぐちゃってしてるらしいんだけど、まあこれだけわかってれば大丈夫だって。
で、当然そのウェス家とイスト会は自分たちが勝ちたい。でも、あんまり被害も出したくない。多いと勝っても力が衰えちゃうし、この後も見越すと街もできれば無事でいてほしい。
そこでおれたち女神たちの気まぐれの出番。しがらみがないから、後々面倒じゃない。
日付を決めて、抱えた人たちに代理で決闘をさせる。そうなったんだって。
まあ、納得してるならいいけどさ。これで勝っても女神たちの気まぐれが強かっただけで、自分たちが強いってことにはならないんじゃないかな?
わかんないなあ、そこらへんは。




