黒き王の憂鬱 1
サブストーリーをクリアして一息……とはいかなかった。あの街の追手は封じたけど、永遠にじゃない。またやってくるかもしれないし、何よりモニモスはあそこだけじゃない。他の人が追ってくるかもしれないよね。
だから、おれたちは移動するしかなかった。スロポスさんでも捕まったんだ、軍団に勝てるわけないよ。
「つまんない~、立ち向かおうよお。ほらあ、オークの奇跡もう一度ってさあ」
「やらないよ」
けど、リロが言うようにスロポスさんに勝った……とは言えないけど、撃退できたのは奇跡だったんだなあ。序盤にすごく強い人がいて、後から戦うことになるのはどっかのゲームでもあったけど、そういうの?
とにかく強さと……家も欲しいなあ。野宿は寒いし寝た気がしないし、宿屋はお金がね。チクバさんたちにお金がかかるから、なるべく節約していかないと。
「都会にいってみよう、モニモスは離れないと」
「わかったわ」
まあ、結局またプリアと組んでるわけだけど、なんか慣れないな。
急にイメチェンっていって、めちゃくちゃ縮んだ体になってるんだもん。その分顔とのバランスが取れて、ぱっと見は前ほどの違和感はない。鎧も尖ってなくて丸っぽいし……力がどうなってるか気になるね。理由を聞いてもはぐらかしちゃうし。
ま、親しみやすくはなってるかな? お人形さんみたいに可愛いしね。
「ここからだとお、ニックライの街が近いけど遠い都会だよお」
「なにかあるんでしょ」
リロが善意で教えてくれるわけないもんね。案の定、いやらしい笑顔で腕にからみついてきた。
「裏社会の血で血を洗う抗争」
裏社会……やくざとかそういうのだよね? 異世界でやくざ……なんかイメージが……。
「傷男だって裏社会の一員だよお」
あ、そっか、奴隷管理……なるほど、そう考えるとわかりやすいかな。でも、余計に行きたくなくなるなあ。
傷男……エファアイ、善人じゃないだろうけど、ざまあみろなんて全然言えないんだよね。
「ちなみにね、プレイヤーが何人かかかわってるのよお」
お、これは聞き逃せないよ。そういえばプリア以外にプレイヤーと会ったことはないんだった。
「前のゲームでもお、大体はチーム組んで攻略してたよお。一人で全部なぎ倒したすごいのもいたけどねえ」
うーん、確かにすごい。一人で千人くらい倒しちゃう武将のゲームがあったけど、あんな感じかな? まあ、前っていうくらいだし英雄天才の人なんだろうけど。
「私たち二人で充分よ」
「いやいや」
数の前には勝てないって少し前に実感しなかった?
「レベルをあげればいいじゃないの」
それにしたって、効率がね……数はいるよ、やっぱり。
「行きたくないけど……協力してくれるかどうか確かめないとね」
「え~」
あごに梅干をつくるプリアと対照的に、リロは嬉しそうに手を叩いた。




