強欲と強欲 50
そしてスロポスさんにも……やってることは良くないと思うけど、彼には彼の理由があったんだものね。
「任務達成ッス、それじゃ」
「以降もよろしく」
チクバさんたちが消えていく。ここで戦ったことを褒めて欲しい……っていうのは、虫がいいよね。
スロポスさんはどんどん小さくなっていく。左足を引きずって……毒が効いてるのかな。これからどうなるんだろう、死んじゃう……かどうかはわからないけど、足が腐って……いや、考えないようにしよう。
もう、頭がパンクしそうだし。
「ん~、なんかいまいちな終わりねえ」
リロが口を尖らせた。でも、あのにやにや顔は消えてない。
「ねえ、ゆー? オークの生態を教えてあげよっか?」
「聞きたくない」
「オークはね、一度そこを縄張りと決めたら絶対に動かないの。動くとしても、狩りつくして、つまり征服しきった自分への誉としてよお」
「プリア、みんなのところに戻ろう」
「え、ええ……」
プリアにどいてもらって、おれは立ち上がった。リロは無視、無視するしかない。
「つまりい、あのオークはすっごく不名誉なことになっちゃったのよお。それもねえ、好感を抱いてた『神訪人』にい」
殴らないよ、殴ってあげるもんか。
「かわいそうねえ」
お前がね。
森に戻って、アーミーチクバさんと鉢合わせした時にすこしおれはぎょっとした。考えてみれば、彼女はみんなを守るのが目的だったんだよね……格闘家チクバさんたちが消えちゃったから、ついつい彼女もそうだって思っちゃったよ。
「おせーんだよ、ボケッ」
悪態と一緒に、彼女も消えた。みんなは無事……とは、いかなかったよ。
何人かやっぱり逃げ出しちゃってた(まあ、解放されてるから逃げるとはちょっと違うけど)。あと、怪我と消耗で何人かは……亡くなってた。アーミーチクバさんにはそういうのはできないだろうし、周りの人たちも何もないからね……責められないのがつらいよ。
2日かけてお腹と体調を整えて、おれとプリアとで解放された人たちの帰国作業を始めた。ようは、護衛していきたいところまで送ってあげるだけだけど。
感謝する人、ただ去って行く人は半々だった。リロが被害者であっても善人とは限らないなんて言ってたけど、そういうことだろうね。……もっと大人になってから知りたかった。
いなくなっちゃった人、スロポスさんも少しだけ探してみたけど、気力も体力も続かなくてやめちゃった。
「強欲と強欲、クリアおめでとお」
「なにそれ」
「このサブストーリーの名前え、女神たちがつけてあげたよお。大国の一部分だけ真似して悦に入ろうとする強欲とお、大地を占領して我が物とする強欲をかけてるのねえ」
……別にうまくないからね。
そして、また経験値がもらえた。やったね、レベル10。ついに二桁で……嬉しいわけないでしょ。
「このゲームは……大っ嫌い」
「え~、楽しいよお」
決めた、ゲームをクリアしたら……元の世界に帰るし、これ以上ここをゲームの舞台になんかさせない。間違ってるよこんなの。




