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強欲と強欲 49

われながらぞわってする。昔とげが爪の間に刺さったことあったけど、痛かったからね。刺さったのもそうなんだけど、その後もやだった、中が切れちゃって手を洗ったりお風呂に入るとしみるんだ……。


 おれたちは突き刺したまま、小刀をおいて退散した。流石に引き抜く余裕はないよね、思い切り刺したし、回収しようとしたら蹴られちゃう。


 スロポスさんは呻き声をあげて、巨兵から離れると左足を抑えて腰をかがめた。流石に痛いはず……ああ、プリア、この隙にもう一回『黒ノ鉄巨兵(ノアシャトゥ)』を使って修復をしてよ……。ぽかんと見てないでさ。


「こちら」


「あ?」


「もう一本で候」


 しのびチクバさんに小刀を渡された。まだあったのか……格闘家チクバさんにも持たせてやってもらえば……いや、さっき考えつかなかったんだ、後悔しても仕方ないよね。


 スロポスさんがおれたちを睨みつけた。


 その顔に……おれは寒気がした。怒った顔が、こんなに怖いと思ったことはないよ。怖い、そう、とにかく怖い。心が重くなってドキドキしちゃう。


 おれってやっぱり、心が弱いのかな。


 これはあれだよね、仲が良かった……とは言えないけど、味方だった人に取り返しのつかないことしちゃったっていう気持ち……。


 格闘家チクバさんに背中を叩かれて、おれはその傷心から抜け出さないといけなくなった。そうだよ、まだ戦いは終わってないんだから。


 スロポスさんは立ち上がった。けど、左足に力が入ってないのか体勢が変だ……それでも、勝てるとは思えないけど。


 下がろうとしたおれを、二人を押しとどめて手を握ってきた。……やめてよね、余計に恥ずかしくなっちゃうじゃないか。ただでさえ、こうなった全てがあれなのにさあ。


 ……ありがとう。


 視線を一旦プリアに移してから、スロポスさんはおれたちを再び見た。より、足にかかる体重を減らしてるみたいだった。怒った顔に、少しだけ痛みが見えた気がしたよ。


「わからん……『神訪人』は……」


 その言葉を残して、スロポスさんは背を向けて歩き出した。


 戦うことを、放棄したんだ。


 大きな二人のため息がおれに当たった。そっか、チクバさんたちも不安だったんだ……。


「ゆー!」


 巨兵を解除して、プリアが走ってきて抱き着い―


「うごへっ」


 た、体格を考えてよ……押し倒……重い重い!


「わ、私怖かったのよ? で、でも、やったわよ!」


「そ、そうだねありがとう、ちょっとどいて……」


 プリアも……そうだよね、みんな……みんなそれぞれ思ってたよね。


 ごめんなさい。……ごめん、本当に。


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