強欲と強欲 48
「毒が効くの?」
退散しておれのそばに戻ってきた、しのびチクバさんに尋ねてみる。
「それ以外の攻略法無」
「パンチもキックも効かないッス」
こう、必殺技みたいなのないの? って聞こうとしたけど、おれのレベルで呼んだんだし、出してないってことは本当にないんだろうね。
愚痴るなら……弱っちいおれを、か。
「とにかく刺せればいいんでしょ?」
「その通り」
ま、それが難しいんだけどね。
「殺……は難しいけれど、弱らせることはできる……かもしれない毒」
「なんか頼りないな……」
「樽一杯飲ませれば、確実に害せられ早漏」
「いや、そりゃそうでしょ」
流石にそれだけ体に入って無事とは思えないよ。問題は。スロポスさんは絶対に飲んでくれないし、そもそも用意ができないだろうってこと。
この刀についてる分の毒がせいぜい、それもどれだけ入るか……。刃が通らないんだからなあ……。
「ピンチだねえ」
背中に乗っかってくるリロがうっとうしい、重さを感じないのがまた、こいつが邪神だってのを思い出しちゃうよ。
「柔らかい……柔らかい箇所を狙うしかないね」
チクバさんたちは揃って、スロポスさんの頭を指さした。まあ、最初はそこを狙ってたわけだけど……回数を重ねればいつかは届くかな?
「ゆー!」
プリアのそれはほとんど悲鳴だった。スロポスさんのパンチを叩き込まれて、腕は崩壊寸前。巨兵が崩れればまた新しく作り出さないといけなくなる。そして、それを彼が許すはずもない。
巨兵がいなくなればもう……けど、戦いにならないからって逃げることもできないよ。絶対にすぐに追いつかれちゃう。
どうする……どう……。
「!」
その思い付きが浮かんだ時、おれはすぐに「そんなうまくいかない」って否定してかかった。だって、それくらいばかみたいなんだもん。
でも、でも、これって……いいと思わない?
「二人とも……」
おれはさらに細心になって、ふたりを抱き寄せて耳打ちした。スロポスさんに聞かれるのが恐かったんだ。
その作戦を告げて、おれたちは彼に走って行った。格闘家チクバさんが右足、おれとしのびチクバさんが左足に。
さきに格闘家チクバさんが到着して、右足に打撃を連打する。もちろん効くわけない、でもスロポスさんはその鬱陶しいのを無視できないんだ。さっきみたいに蹴り飛ばそうとする。
だから、左足は支えのために動かせない。そこにおれたちが少し遅れて接近して、指に生えてる爪の間に、思い切り小刀を突き刺した。




