強欲と強欲 46
昔、おもちゃを買ってもらえなくって暴れて家のガラスを割っちゃったときがあった。その時に一番嫌だったのは、そのあとにたっぷり怒られたことじゃなく、割っちゃってから少ししてのときだった。
最初は、おれが正しいお母さんが悪いんだと思い込んでたから、暴れて壊してなんだかすっきりした気分にもなったんだけど……冷静になってみるとものすごく心が重くなった。
わがままでなんでこんなことをしちゃったんだろう、それとやっちゃったことで、逆にこれをやらなかった場合のことを想像しちゃったんだ。
ガラスを割らなかったら、このあと怒られることも、このことを悔やんでも忘れられなくなることもなかったろうにっていう後悔……わかるかな?
それからも何度……いや、何十回も同じことがあったよ。で、多分人生で一番やばいそれが……今の剣投げつけだと思う。
「ノ、『黒ノ鉄巨兵』!」
ああっ、プリア……。おれが言える立場じゃないけど、今女神たちの気まぐれ出したら完全に宣戦布告じゃないか……。スロポスさんは巨兵がどういうのかわかってるのに……。
「……まあいい」
ぽつりとこぼして、スロポスさんは巨兵に突進した。どうにか受け止めてるけど、力の差は歴然でプリアは押されてる。大体巨兵ができあがるまで少し時間がかかる、未完成じゃ無理だよ。
スロポスさんがおれに最初から突っかからなかったのは、脅威だって思ってなかったからだろうね。
ま、そりゃそうだろうけど……でも、だからって何もしないわけにはいかないよ。
「『未来を握り合う手』!」
格闘家、しのびチクバさんが現れた。これで完全に所持金はなくなっちゃった。これ以上呼ぶと、またステータスが半減しちゃう……正真正銘これができる最後の抵抗だね。
「っしゃあ!」
「参上」
正直、こんなことしても仕方ないと思うんだけど……かといって引くわけにもいかないからね。
「どっせい!」
「死に候、死に候」
チクバさんたちはスロポスさんの足を攻撃した。格闘家は正拳突き、しのびはくないでチクチク。けど、全然効いてなかった。
大人と子供……そもそも皮も切れない。
「ぬうう……」
「ゆ、ゆー⁉」
プリアが悲鳴をあげた。巨兵が押されて、背中からくの字におられちゃいそうだった。というかもう、ひびが入り始めてる。
チクバさんたちはスロポスさんを駆け上って、頭に攻撃を集中させようとした。鍛えようのない眼とか耳とかを狙うつもりだったんだろう。




