強欲と強欲 45
「楽しくないっ!」
とほほ……なんでこうなっちゃうんだろう。
「で、ここからが楽しいのよお」
「お前たちには世話になった、だから立ち去るといい」
スロポスさんにとっては……何にも間違ってないことなんだろうね。むしろ、侵入者であるおれたちに情けをかけてるんだろう。
「どうするう? ちなみにい、もう100人はやっちゃてるのよお」
リロの言ってるのはこうだった。スロポスさんをそのままにしておくと、また同じことの繰り返しになる。最初に捕まった時にどうだったのかはわからないけど、侵入者をまた縄張りから排除するだろうね。
そうすると結局、また捕まえに大勢が来るだろうけど、スロポスさんはやめられない。いい悪いじゃなくて、そういう生き方だから。
元の世界のおれの生活で……たぶん環境破壊とか起こってるだろうね。でも、そう言われても我慢は出来ないと思う、指摘してきた人に、わかるけどうるさいとか、面倒な奴って思うだけだろう。それと一緒な気がする。
どっちの……そう、どっちの側に立つかなんだ。
縄張りをきちんと持って、そこで一人で生きてて、侵入者を倒してるだけのオーク。
剣闘とか奴隷っていう最低の行いはしてるけど、放っておくと危険な存在をなんとかしようとしてたモニモスの人たち。
一番いいのはもうここで立ち去ることなんだろうね。サブストーリーは終わってるはずだし、モニモスの人たちをおれはあんまり好きじゃない。
でも……本当にそれでいいの?
「ふ、ふざけないでよ!」
「? ふざけていない」
どうする? どうする? どうする?
「なんなんよあんた⁉ こん、こん……子供もいたでしょ⁉」
プリアがこんなに食って掛かるのは初めて見た。そして、これが当たり前の反応なんじゃないかとって思えた。そうだよね、この村には子供もいただろうね……戦うどころか、殺される意味もわかってないような。……あ、赤ちゃんも……。
「俺の縄張りに入り込んだ」
「だ、だからって!」
「ここは俺のものだ。俺が許したもの以外の存在は許さない」
「なんなんのよ⁉」
「ちなみにこれ、珍しいことじゃないからねえ」
リロがほっぺに唇を当てながら囁いてきた。
「こん、こん……‼」
なんて言ったらいいかわからないみたいで、プリアはその場で足踏みをして下唇を噛んでた。
スロポスさんは肩をすくめておれに目をやった。「わけがわからない。だろ?」って同意を求めるみたいだった。
うん、子供っぽいよね。怒ったりするなんて、良くないよ。どんな時でも冷静に……。でもね、そのときおれは頭の中で「ぶちっ」っていう音を確かに聞いた気がするんだ。
プリアの気持ちもわかったし、スロポスさんの言い分だってわかる。
でもね、プリアとは……時間的にはそれほどじゃないけど一緒だったし、なにより、馬鹿にされてると思っちゃったんだ。そして、村はすぐ目の前にあったんだよ。
「けえい!」
剣を思いっきり投げつけた。スロポスさんの顔にそれは刺さったけど、腕力半分だったらすごく浅い。まるでとげが刺さったくらいで、彼は少しだけ後退して剣を指でつまんで抜き取ってた。




