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強欲と強欲 44

 ええ……、なにそれ。


「す、スロポスさん? これ……スロポスさんがやったの?」


「ああ」


 うわあ、もう……お腹が重くなってきたよ。これ、もしかして、スロポスさんが捕まってたのも、そういうことなんじゃないの?


「あ、あんた、よくも逃げたわね」


 プリアが噛みついた。


「逃げた?」


「あの時よ、おかげで私たちは大変だったのよ」


 あ、そっか。すっかり忘れてたけど、スロポスさんは最初に剣闘場を解放した時にいなくなってたんだった。


「なぜ逃げた?」


「は? あ、あんたが逃げたんでしょう!」


「逃げてはいない」


「逃げたわよ! いなかったじゃない!」


「すでに解放が終わったから、俺は俺の土地へ戻っただけだ」


「終わってなかったわよ!」


「終わってた、枷を外して牢も破った。あとはあいつらのことだ」


「はああ⁉」


「プリア……」


 今のでわかった。スロポスさんにとっては、言葉の通りなんだ。

一緒に捕まってたから同情したみたいなのはあるんだろうね、でも、それ以上に彼には彼の線引きがあるんだ。


 こう思ったらこう。つまり逃げられる状況を作り出したら、あとは自分で動かないとダメ。そういうこだわりなんだろう。縄張りだからって、後からやってきて(そもそもここら辺が捕まる前からの縄張りの可能性もあるけど)、ケレッサの村が侵入したって因縁付けて潰すのも、決して間違ってない事なんだ。


 オークがそうなのか、スロポスさんがそうなのかはわからないけど。理解もできなくはないけど……実行するところをみると頭が痛くなるよ。


「異種族間の軋轢~、楽しいよ~」


「触るなっ」


 抱き着いてくるリロを押しのける。時間が止まるのが、こうなるとテンポを悪くしてるようにも思えてくるよ。


「ひど~い、もっと教えてあげたいことがあったのにい」


「?」


「罪人さん、忘れてなあい?」


 その時おれは、とっても間抜けな顔をしてたと思うよ。「あっ」とか「そうだった」とか、とにかく間抜けな顔を。


 リロにはそれが見えてた。肩に手を置いて、ほっぺたとほっぺたをくっつけてきた。柔らかいのに、温かさが全然ない気味の悪い感触だった。


「この村に、罪人はいたのお。ゆーが予測したように、悪い事するためねえ」


 やっぱり……、予測が当たっちゃったこと、誰かを傷つけたこと、そしてその原因のひとつにおれも確かに関わってることに、お腹がすっごく重くなった。


「そこにね、オークがたまたま突っ込んで来たのお。信じられる? 偶然なんだよ? だからゲームって楽しいよねえ」


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