強欲と強欲 36
エファアイが手をかざすと、火の玉が飛んできた。やっぱり魔法が使えるみたいだ、それも一撃でアーミーチクバさんの半身が焼け焦げちゃうほどの強さの。
そういえば詠唱とか、なんかエフェクトみたいなのは出てないな……いや、魔法を知ってるわけじゃないんだけど、そういうのが出るもんじゃないかな?
「我流だねえ」
リロが説明し出した。
「威力も精度も燃費も悪いけどどお、ちゃんと魔法になってるよお」
ちゃんとした魔法もあるってことね。弱い魔法で助かった……わけないよ、比べて弱くても今のおれたちにとっては、火炎放射器もった相手と戦ってるのと一緒なんだから。
アーミーチクバさんはしのびチクバサンに連れられてどうにかそれを避けてた。
「ゆー! 加勢して!」
「あ、はい!」
思わず敬語で答えちゃった。アーミーチクバさんの介護でしのびチクバさんがいるってことは……結局2対1じゃないかっ。
「あの火の球を撃たせないように接近するッス」
けど、文句を言っても仕方がないか……。ここはプロの格闘家チクバさんの言うとおりにしよう。
「せいせいせいせい!」
とりあえず突っ込んで剣をふるってみた。どんなに力が弱くても、剣なら当たれば切れる。つまりエファアイも無視はできないはずだよ。そして格闘家チクバさんの打撃はきとんと効くはず、少しでも注意をこっちにそらせて当たりやすくしよう。
でも、やっぱりエファアイはすごかった。おれの剣をかわしながら、格闘家チクバさんの攻撃にも対処して……うおっ、隙なくこうやって攻撃もし返してくる。やっぱりボスだけあって強いよね……。
「エファさん!」
「俺より自分のこと心配しろ! 奴隷共は⁉」
「ちょっと無理っす!」
「もう少しやってみますけどね!」
おまけにこうやって、部下たちにも(言ってる内容は最悪だけど)指示も出してて、結構アットホームな感じだし……う~ん、気に入らない。
もう一個、まだまだやる気っぽいエファアイたちと裏腹に、プリアにやられてるとは言え腰が引けてきてて、おまけにエファアイたちを助けるでもない青服たち、いつの間にか集まってきてて観戦してる街の人たちはもっと気に入らない。
「名前があるのかな⁉」
「はあ?」
「こっちの話だよ!」
もっともっと前の……天才とか英雄とかのプレイヤーなら、どうしてたんだろう。全部きれいに解決できたのかな? けど……おれにはどうしたらいいか、わかんない。
そんなこと考えてる余裕なんかないのに……やっぱり改造のせい? それとも……誰でもこんなことに直面すれば、こうなるのかな?
「いいよお」
リロめ、何がそんなによだれを流すくらいに嬉しいのさ。汚いし、おれは悩んでるっていうのに。




