強欲と強欲 34
「よいしょっと!」
もちろん、そんなのは他の人たちにはなんにも関係ない。格闘家チクバさんのすごい張り手が、エファアイのお腹に直撃した。
「っつ⁉」
「響いたぜ……」
……んじゃない。肘うちで迎撃されてた、初めて格闘家……いや、チクバさんが焦りとか痛みとかを顔に出したのを見た。
「ヤロー‼」
アーミーチクバさんがエファアイを銃撃したけど、狙いが全然定まってない。さっきの火の玉のせいでひどい火傷をしてて、ちゃんと銃が持てないんだ。水膨れが黒く焦げた肌に何個も……・
「うわっ!」
って、こっちもそんな余裕はなかったんだ、まだまだ青服とかエファアイの部下がいるし……。
「強いよねえ、あの傷男」
「うるさいっ」
けど、リロの言うとおりだ。エファアイは強い、しのびチクバさんも参戦して3対1なのに、互角……いや、おしてるくらいだ。当たり前……なんだろうね。レベル1のおれが呼んだんだから、強さもそれくらいだ。今までが麻痺してたんだ……きっとエファアイはレベルもステータスも、スキルだって揃ってる。
「『監定士は嘘を吐かない』があれば、その強さもわかったけどねえ」
「しつこいってば」
飛び掛かってきた、モヒカン頭の男に頭突きをしながらおれは怒鳴った。こんな時でも一応状況を俯瞰して見れるし、こうして説明もできてるのをおかしく思う? 落ち着くためだよ、こうやって、少し離れてるつもりになると……ちょっとだけ楽になるんだ。
そう、冷静さだよ。
冷静に考えれば、3対1で押されててもいいんだ、エファアイが足止め出来てて、他はプリアとおれで倒せてるんだから。流石に『黒ノ鉄巨兵』が怖くなってきたのと、単純にやられちゃったので青服とエファアイ部下の数も勢いもなくなってる。
戦略と戦術……違いはわかんないけど、たぶんそんな感じの違いでおれたちが有利だ。このまま戦える人たちを減らして―
「しゃあ!」
「わわわっ」
と、思ってたら急にこっちに火の玉が飛んできた。エファアイが……チクバさんたちを突破した⁉
「どうするう? どうするう?」
過去最高にリロを殺しちゃいたくなった。けど、エファアイはもうそこまで来てるし、プリアも今はおれと距離が離れてる……。
「き、ひいいやあああえ!」
奇声をあげて、おれはエファアイの一撃を全力で剣で受けた。腕がしびれて倒れて、もう怖くて泣きたかったけど、ここで死んじゃったら全部無駄になっちゃう。ぜったいに、ぜったいに生き残ってみせるよ。




