強欲と強欲 31
「そこんとこ考えてくださいッス。そいじゃあ」
言うだけ言って、チクバさんは消えちゃった。なんだよもう、おれにはおれの事情とかがあるのにさ、偉そうにもっともなこと言わないでよ。無視していられるくらいに図々しくも、図太くもないのに……。
「どうするのお?」
思わずリロを蹴飛ばした。もちろん、なんの意味もなく彼女はけらけら笑うだけだった。なんて嫌な邪神なんだろう。
「ゆー……」
「れ、レベルアップしようか」
落ち着いて、落ち着かないといけない。やけになって暴れてもその時はいいけど、後になってなんて馬鹿なって思うだけなんだ。家でも学校でもあった、もうやらない、やらない。落ち着いてゆっくり……。
「明日ねえ、剣闘のイベントあるよお」
「なっ……」
「逃げちゃったからねえ、一旦整理するんだってえ。皆殺しちゃうねえ」
嘘……じゃない。こういう時、こういうことをリロが言うなら、それは絶対に本当のことだよ。
だって、この邪悪な笑顔……楽しんでるよお。
「どうする? どうする? ど・う・す・る・う?」
拍手してあおるんじゃないよ! ああ……でもリロに当たってもどうしようもない。だっておれが……原因だもの。
「プ、プリア! い、いくよお!」
「え? レベルアップ―」
「いくのお! そうしないと間に合わないよお!」
やるべきことは一つ、助けて家に帰すまでする! そうしないともうだめ! キリがない!
「この人たちからお金とか武器とか集めて! そしてからいくよ!」
「うわあ、すっごくコソ泥根性。やっぱりゆーは良いよお」
「なんとでもいって!」
ただでさえ強行軍だし、向こうにはエファアイもたくさんの他の戦闘員だっているはずだもん。おれはここで正々堂々いって倒してとかできる天才じゃないよ。
かといって、もう知らないってもできないんだよねえ……中途半端が一番嫌だよ。
「やるよ! やるよもう!」
森を飛び出して、『黒ノ鉄巨兵』に乗ったおれとプリア、チクバさんたちは街へと突撃した。
火事の焦げが遠くからでも見える……だめだめ、今は余計なことを考えちゃだめ。
「見えたッスよ」
「やってやるで候」
「みなごろしだああああ!」
「救助だからね⁉ 剣闘させられてる人たちの救助!」
格闘家、しのび、アーミーチクバさんをおれは召還した。男たちからかき集めてお金と服、武器とか薬で何とかステータスは減らされないで済んで、一回分くらいのそれぞれが残ってる。
「ゆーも戦うんスよ」
「如何にも、そうすればより楽な任務達成が成せまする」
「後方指揮官面してんじゃねーよ、コノヤロー」
「あーあー、聞こえない聞こえない」
こうなったらこっちも、もうチクバさんたちを道具にしちゃうんだからね。うん、そうするのが一番いいんだ。




