強欲と強欲 30
腕が抜けた。正確には、そう感じちゃうほどに力が全くなくなっていった。文字通り腕の力を半分にされちゃったんだ。剣がすごく重く感じる……。
「な、ななな⁉」
「毎度ッス」
「ちょっとお、そりゃないよお!」
だって、ステータスって……ええ? これって治る? 治らないとまずいよね。
「治らないよお」
「しれっと言わないでよ!」
「でもお、レベルアップで成長はするからあ、ずっとそのまんまじゃないのお」
「あ、そうなのそれなら……いやいや、待って」
結局半分になっちゃったことに違いはないじゃない。例えばレベル2になって、今より筋力があがっても、それは元々のレベル2の時の筋力の半分ってことでしょ?
「補正する道具とかスキルあるから大丈夫だよお」
いやいや、ショックでしょこれ。それに、それで補正するって言っても、本来なら必要ない道具やスキルがいるってことじゃないか。弱体化だよ。まあ、おれが何もないのに呼んじゃったのがそもそものきっかけだけど。
「ゆーは人任せすぎるッス」
「え?」
格闘家チクバさんが話しかけてきて、おれは戸惑った。いつもなら対価を払ったらすぐ消えちゃうのに。
「チクバさんたちと一緒にがんばれは2倍以上の力が出るんス。なのに、いつも見てるだけッス」
「な……だって、『未来を握り合う手』はそういうものでしょ?」
召喚獣だよ召喚獣。……確かに、任せきりなのはそうだけど。でも、おれだっていっぱいいっぱいなのにそんなこと言われたくない。
「かーっ、チクバさんはゆーの奴隷じゃないッスよ」
おれはその言葉でカチンときちゃった。剣闘のこともあったし、男たちの話もあったし。
「奴隷じゃないよ! おれはそんなこと思ってない!」
「だから根が深いよねえ」
リロが楽しそうに拍手した。
「そう言ってても、扱いは一緒なんだもん」
違う! おれはあの街みたいに、人をさらって殺し合いさせたり、奴隷ってばかにしたりなんかしてない!
「チクバさんたちは、ゆーと二人でがんばるためにいるんスよ?」
「だ、だって、おれはまだ弱いし……」
「チクバさんだってそうッスよ。レベル1なんスから」
そうだった……目的が間近にないことと、おれと同じレベルじゃないとチクバさんは力を発揮できないんだった。
「け、けど、おれはこんなにいっぱいの人を……」
「チクバさんは戦いに偏ってるだけッス。ゆーだって、圧勝は無理でもがんばれば十分倒せるんスよ?」
そ、そんなこと言ったって……無理矢理連れてこられて、いっぱいいっぱいで、人殺しなんて怖くて嫌だし……。




