強欲と強欲 27
渦巻きに飛び込んで、見慣れてきた森のなかにおれとリロは降り立った。まだ夜のまま……さっきのあれから、ほとんど時間が経ってないのかな。
だとすると好都合、すぐに追いつければ取り戻せるかもしれない。と言いたいけれど、レベルが絶対に足りないよね。8で厳しいって言うか、多分勝てないと思えたから、10……いや、念を入れて倍の16くらいは用意しておかないとね。
と、同時に時間の余裕もそんなにない。だって、脱走したあの人たちを優しく出迎えるなんて、あのエファアイも街の人たちもしないでしょ。ひどくするとそのまま見せしめに……こんな考えをしちゃうようになったのはすごく悲しい。
「どうするのお? どうするのお?」
それもこれもこの邪神のせいだ。何が楽しいのさ全く。
「とりあ―」
「ゆ~‼」
誰の声か、考えるよりも早くわかっっちゃった。あの鎧の女の子、偉そうな割になんか頼りない、異世界から呼び出されたプレイヤーのひとり……。おれの仲間。
「ああ、もう!」
おれは声の方へ走った。『監定士は嘘を吐かない』がレベルが下がって使えなくなったから苦労した。でも、ほうってはおけないよ。
何度も転んで、寝てたマルクマを踏んづけてどうにか倒して(寝てただけなのにごめん)、いっぱいいっぱい走ってようやくおれは、叫んでるプリアを見つけた。
「ゆー!」
「わっ」
抱き着かれて倒されちゃった。消防士チクバさんさんの時みたいに、こう、なんとも言えない……とはならなかった。体は石とかでできてるから、硬いし重いしで痛いくらいだよ。
「ごめん! で、でも私は必死にやって……」
「いいんだよ、でも、今はちょっと静かにしよう」
自分がどこにいるか教えてるようなものだよ。エファアイたちが聞きつけたら、増援が来るかもしれない。そうなったらまずいよね。
それにしても……プリアはやっぱり頼りないなあ。殺してしまった(正確にはゲームでだけど)ことを悔やんでるのは好感がもてるけど、自衛官だったってのはもう完ぺきに嘘っぽい。いくらなんでも、心が弱すぎるよ。おれもひとの事言えないけど。
ほら、もう泣いてるよほとんど。それに、おれを待ってたみたいだし。一人じゃどうにもやっていけないんだろうね。
かわいいって思うか? 落ち着いてから考え直してみよう。
「プリア……」
「また一緒にいくわよね⁉ いってくれるわよね?」
あーあー、そんな見つめて手を握って震えないでよ……おれまでなんだか心細くなっちゃうじゃないか。




