強欲と強欲 25
「ばかやろう」
怒鳴り声とごちんという音にふり返ると、傷男エファアイが部下っぽい男を殴っているところが目に入った。もちろん、その二人だけじゃなく、街にいた一団が全員揃ってた。
解放した人たちはエファアイたちを認めると、泣き叫んだり恐れて逃げ出したりした。きっと、そういうことされた相手だから……だめ、今心をもやもやってしていいことないよ。
「殺しちまってどうするんだ」
「す、すんません」
「おい、捕まえるんだぞ、わかってるよな」
野太い声で返事をして、男たちは解放された人たちへ手を伸ばしていた。まだ抵抗できる人はいいけど、疲労と恐怖でほとんどは蛇に睨まれた蛙みたいにそのまま捕まって、手足を縛られちゃう。
「よっと」
「う!」
何を見てる助けろだって? そりゃあそうしたいよ、でもね、エファアイたちがおれをそっとしておくと思う? 剣を振り回して、攻撃して来てるに決まってるじゃない。
「エファアイさん、ちょっとこれは……」
「倒せるわけねえだろ、妨害しろ妨害」
それもかなり余裕にだよ。おれを剣で怯ませて、プリアに挑んでる部下に指示を出せるくらい。おまけにプリアには勝てないってわかってて、妨害だけさせるようにしてる。
やっぱり、ただの無法者じゃない。頭も切れるし、かなり強い。
「ボスイベントねえ~」
リロは無視、無視、無視。集中しないと。
「捕まえたら戻っていい、待機してろ」
おまけに、すごくよく動きができてた。そういう目的だったろうから当たり前だろうけど、取り返したらさっさと逃げていっちゃう。この暗闇でも、迷ったりしないんだろうね……でも、どうやって?
「こ、この!」
「ま、待ってプリア!」
遅かった、プリアが『黒ノ鉄巨兵』を発動しちゃった。いや、戦って勝つならそれでいいんだよ、負けるはずはないだろうから。
問題は、それを出すとき周りを巻き込むでしょ? それでもう大混乱になっちゃうことなんだよ。土と木とがめりめりって盛り上がって、ぺっぺ、口に入った……。
ほら、エファアイがここぞとおれたちを放って指示を出して、自分も連れ戻すのに切り替えてるじゃない。
冷静すぎるよ……何をして何をしないかがしっかりわかってるみたいだ……奴隷管理してる悪党なのに、どうして……。
「舐めるんじゃないわよ!」
「だめ!」
暴れたら解放された人たちも巻き込んじゃう! 精一杯叫んだおれはそのせいで土を吸い込んでせき込んで、そのうえに『黒ノ鉄巨兵』が殴って折った木がのしかかってきたー。




