強欲と強欲 19
一応は救助作業をしていくけれど、おれはどんどん嫌な気持ちになっていった。
助けるっていっても、おれは医者じゃないわけだからどうしていいかわからない、やけどには水と思って井戸から汲んで飲ませて見たけど、眠り薬が入ってるって忘れててそのまま眠っちゃって危なくなったり、しみて泣き出しちゃう人もいた。
で、そうじゃない人たちはどうしていいかわからなかった。回復薬とか薬草とかあるはずと思って探したけど、お店からはもう略奪されたのか一個もなかった。みんな自分のために使いたいから、提供を呼び掛けても誰もこない。
プリアに頼めば無理やりにでも取れるけど……それじゃ結局何にもならない。
回復魔法も考えたけど、それを使える人は全然いなかった。いやな考えが頭をよぎった、もしかして使えても、わざと使わないようにしてるんじゃないかって。
けが人はみんな、いわゆるフツーの人だった。偉かったりするようには見えない、そういう人は助ける価値がないと思ってるんじゃないかな。小説で……そういう身分っていうののところがあっておれはとてもやな気分になったことがある。
そうじゃないと言い切れない。
仕方ないから、とりあえず一か所に人を集めておいたけど、痛い痛いって泣いたり死んじゃったり、そういう人を狙う盗人までいた。
「いいねえ、いいねえ」
「うるさいって!」
「ちゃーんと回復魔法とか、ゆーたちにも使えるけどねえ。今までのすごいプレイヤーならあ、これくらいの時期には街の人みんな、助けられてたのにねえ」
あたまが沸騰するみたいだった。リロを殴っちゃいたいと一瞬思ったけど、それでなんの意味もないとすぐに我に帰れた。めが……邪神なんだ、おれのパンチでどうこうなる訳ない。
「プリア、こっちもお願い」
「え、ええ……」
プリアは困惑しきってた。その気持ちがわかるから、おれはどうにもやりきれない。
こうなったのもおれのせいなんだよね……わかってる、わかってるけど、何様のつもりってなるけど、でも……だって、放っておけないじゃない。
「いやあああ!」
悲鳴……長い髪のお姉さんが男に襲われてる。わかってるよ、何をしてるか……!
「このおお!」
おれは殴った。男をなぐった。男はつんのめって額を地面にぶつけて、血を流しておれを一回見てからまた血をぬぐって、それから飛び掛かってきた。
大人の男とおれは、フツーに殴り合いできてた。というか、おれのほうが有利なくらいだった。
それはいいんだ、問題なのは、そのせいでやたらと時間がかかっちゃうことなんだよ。




