強欲と強欲 18
街へたどり着くと、大混乱に直面した。倒れてる人、まだ動いてるけど眠りそうな人、意識があってあたふたしている人でどうにも滅茶苦茶だった。
事故現場とかのVTRを見てるみたい……けど、目の前のこれはゲームには思えないんだよね。泣き叫んでる子供、怒鳴り合ってる人たちの真っ赤な顔、火事の熱気、どれも……現実だ。
「返せ!」
おばあさんがひげ男に飛び掛かって叫んでる。
「コソ泥!」
「殺すぞ婆!」
火事場泥棒だ、周りは自分の事で手一杯か無視してるか。ああ、もう、なんでこういう嫌な場面を……おれは好きじゃないのに。
「おい!」
「ああ⁉」
ひげ男にすごまれてちょっとびびったけど、おれの手の剣を見たらすぐに逃げて行った。正直助かったよ。
でも、おばあさんも俺のほうを見もしないで走って行った。そりゃ、こんな事態だけどさ、少しはその……はあ。
「剣闘場でオークが暴れてるぞ!」
誰かの叫びがこだました。そうか、スロポスさんが……。当初の目的は大丈夫そうかな。
問題はおれが、人助けをしなきゃいけないっていう、ふざけてことをしたがってることだね。もともとこうだったっけ? それとも、リロに改造されてこう思ってる?
「ほらほらがんばりなよお、経験値もらえるよお」
「……『未来を握り合う手』!」
無視だ無視。
登場したのは……時代劇に出て来てた火消しの服をきたチクバさんだ。プリアと同じくらいの年で、海の波みたいな模様の入ってる青い服を着てる。
下は黒いスパッツみたいなのだけで、ハチマキと……さらしっていうのかな? それを胸元にまいて、イカみたいな大きな棒付きの……ほら、わかるでしょ? あれを持ってる。
「火の用心、水用心、用心し通し家内安全! 災い乗り越え福掴む!」
「チクバさん! 火事を消してお願い!」
「むむっ、承知承知任された! お礼を忘れず!」
消防士チクバさんは、イカ付きオブジェを振りかざして回転させながら歩きだした。
ついてるひらひらから水しぶきがあがって、それがまるで雨みたいに周りに降り注いでいく。
「快晴雨天! さあさあお空に感謝感謝!」
よし、火事はこれで消えるはず。けど、消火活動に全振りしてて他はしてくれないだろうから、あとはおれたちで動かないと。
「プリア、女神たちの気まぐれ で人助けと暴れる人は倒して」
「え、え? え、えっと……」
「やって!」
プリアは慌てて『黒ノ鉄巨兵を起動させた。
道と家が融合して、巨人になってプリアを頭にして立ち上る。
「ああ! 家ええ!」
う……家の持ち主が悲鳴をあげてる……そっか、そうだよね誰かの家だし……ご、ごめん、後で必ず直すから、今はちょっと我慢して。本当にごめん。




