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強欲と強欲 17

「今からやるの?」


「長引かせれば、囚われ人はより数を減らしていく」


「あ、そっか……」


 そういう事情も……ああ、なんでおれは気づかないんだろう。頭がよくなりたいなあ、鍛えればいいのかなあ、でも、それもゲームの中でなんだよなあ。


「どうするのです」


 しのびチクバさんがひざを進めてきた。まさか、何も命令しないとそのまま消えて全財産の半分はもらう、何てことはないよね?


「や、やって」


「命じられるままに」


 彼女は壺の一つを持ち上げると、足音もなく森を駆けて行った。そっか、一度に全部はそれは無理だよねえ。


「運ぶぞ」


「え? だって仕掛けるのはしのびチクバさんが……」


「わざわざここから運ぶのは手間だ。発見されてはまずいが、街に近いところへ置けば少しはマシになる。俺達も、どのみち動かねばならない」


「わたしもそれに気づいてたわ」


 じゃあ最初に言いなよ! ……はあ、なんでわかんないだろう。おれってそんなに馬鹿かな……考えるまでもないか。


 壺を持ち上げながらくよくよする。ゲームなのに……帰りたいなあ。


「いい顔してるねえ」


「うるっさい」


 この邪神がそもそも……くそっ絶対に早く帰ってみせるからね。



 壺を森の木々が途切れるすんでのところにおいて、おれたちはしのびチクバさんがそれを運んでいくのを黙って見てた。


 いや、おれとプリアはだね。スロポスさんは体をほぐしてるし、なにかしのびチクバさんと話してもいた。おれは黙って見てるだけ。


 そうこうするうちに、街がざわついてきた。眠り薬の効果が出て来てるんだろうね。う~ん、けど、こうしてみると地味だ。


 まあ、急に周りが眠り出しててるだけだから、それも―


「あれ?」


 火事? 炎があがって……ええ? 


「な、なんで? 眠ってるだけでしょ!」


「ご飯とか作ってるときに眠ったらそりゃ火事になるでしょ」


 プリアが言った。


「ゆーだって火を使う事あるでしょ? その時急に眠っちゃえば、火はずっとそのまま。だったら燃え移ったりもあり得るわよ」


 そ、それは……だ、だめ、人が死んじゃうよ! 今更って言われるかもしれないけど……おれが想像してたのは、ゲームみたいに―


「決行するぞ」


 スロポスさんが走り出した。捕まってる人を助け出すためだろう……っていうかおれたちはどうすれば……いや、こんなこと考えてちゃだめだ。


「おれたちもいくよ!」


「ええ⁉」


 街の人が好きなわけじゃない、剣闘場のこともあるし、傷男だっているしね。


 でも、死んじゃうのはどうにも……よくないよ。


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