強欲と強欲 15
というわけで、少々地味な各種の薬草を集める作業が始まった。地味って言ったけど、結構大変な作業なんだよ? 何しろ森には葉っぱがいくらでもあるんだ、アダダバナはまだ赤に白い斑点がある花だって説明しやすいんだけど、ナシコレソウは見た目に何の特徴もないからね。キタナミの実だって、丸くて茶色いからよく見間違えちゃうし。
『監定士は嘘を吐かない』で判別できるだろうって? おれはそうなんだけど、プリアのはまだそこまでいってないんだよね。多分、知識とかそういうのの差かもしれない。本院は否定してるけど、やっぱりプリアの自衛官って言うのは嘘っぽいよね。
やっぱり自衛官スキルをいかして無双してくれるくらいじゃないと……夢見すぎかな? というわけで、なんか匂いでわかるらしいスロポスさんは別として、プリアはおれと一緒じゃないとだめ、リロはもちろん手伝わない、量は多すぎる(まあ大人数相手だし)で大変なわけ。
「ふむふむ、これはなかなかよろしいんじゃござんせんか?」
そしてもう一つの難題が、その睡眠薬を作ってくれてるチクバさんにあった。
白い頭巾に割烹着、マスクをつけて背中の箱に何か色々詰めてる。薬剤師……薬屋チクバさんかな。
集めてきた薬草を彼女は選別していくんだ。まあ、虫食いとかちょっと枯れてるのはわかるんだけど、無事そうなのを分けるのはちょっとムッとするよね。
「ねえチクバさん、これとかどうしてダメなの?」
「お静かに、集中できませんで」
言葉遣いは丁寧だけど有無を言わさない感じだ。材料を蒸して、その蒸気を集めて容器に詰め、そこからまた火にかけてる。もちろん燃料とかはおれたちが担当だ。
お金に変えちゃったから食べ物も新しく手に入れないといけないし、剣闘も様子を見に行かないとだめだしで大変なんだなあ。
「報酬のご用意をお忘れなく」
「う、うん」
お金のことだよね。半分持ってかれるのかあ、これがなかったらなあ。でも、まだ手持ちがない時期で良かった。けど、これだとどんどんお金を手にしても結局半額になっちゃうし……いや、お金はプリアに預けておれは食べ物とかを持つってのも……。って、プリアが使っちゃう危険もあるか。
「ほい、これ」
薬屋チクバさんが置いたのは、そうやって作ったペットボトルくらいの容器に入ってる眠り薬。透明だけどちょっととろっとしてるかな? こうやってちょっと嗅ぐだけで……ううん、きくねえ……。
あとはこれをどうやって、あの街の人たちに飲ませるかだね。




