強欲と強欲 13
翌朝、宿を出たおれたちが向かったのは、昨日の武器屋の屋台だった。
傷男との一件が知られてるのか、前よりも周りからの視線や話を多く感じる気がする。リアルって言えばリアルなんだろうけど、なんだかなあこういうのは。
結局ゲームって感じがしないんだよねえ、リアルも過ぎるとさ。そこをわかってないから楽しさに繋がらないリアリティが……おれは何を言ってるんだろう。
「いらっしゃい」
武器屋のおじさんは元の屋台にフツーにいた。う~ん、まあ予想はしてたんだけど、なんか変な感じがするよね。なんなんだろうこの感覚、やっぱりゲームと現実にある世界っていうのが混じり合ってるんだろうね。
「それ」
「あ、まあまあ」
おじさんがおれたちの剣を指差す前に、お金を置いた。
「何しろ非常事態だったから、どうかこれでね」
おじさんは少しだけ悩んで、置いたお金に手を伸ばした。物価も一緒に調べたんだ、大して良いものじゃない剣二本にしては充分なお金だもんね。
「その上で、色々欲しいものがあるんだよね」
「全部おすすめ」
……商売下手だよね。
しばらくして屋台を離れたおれは、剣の他に籠手と靴、鎖帷子を身に着けてた。どれも粗末なものだけど、不良品じゃない。
「なんでゆーだけ……」
「プリアはいらないでしょ」
そう、プリアは体が鎧みたいなものだ。頭が無事なら復活できるし、少なくとも俺よりは固い。お金の問題もあるけど、武器があれば今のところは大丈夫だ。
避けるべきは死んじゃうことだよね。死んじゃうと失うものが多すぎる。本当なら死んじゃった時点で終わりなんだけど。
完全防備の鎧でも欲しいところだけど、それだと重すぎるしお金が足りない。ま、これもスキルを鍛えていけば解消できると思うんだよね。
スキルって言うか、結局は現実と一緒。速く走りたいのなら走る練習をしなきゃいけないし、テストでいい点をとりたいなら勉強しなきゃならない。
ゲームでそんなことしたら本末転倒っていうのを差し引けば、まあ当たり前のことだね。魔法みたいな技を使える分、ただ努力するよりもマシだって思わないといけないかも。
はあ、つくづくゲームやってる気がしないよね。やっぱりおれたちって、フツーに異世界にただ連れて来られてひーひーいいながら生き抜いてるだけじゃないかな?
「それでえ?」
「正面からぶつかろうとするから危ないんだ。ちょっと卑怯な手を考えてみたよ」
一晩ベッドで眠れて頭もすっきりしたみたいだ。早速しかけてみようじゃないか。




