強欲と強欲 11
正しい判断……いやいや、おれのいたところとここで正しいかどうか比べても仕方がないよね。
今大事なのは、どうやってここをやりすごすか。
……よし。
「先に手を出して来たのはおじさん、反撃したのは普通だと思うよ。それでもやるっていうなら、やり返すよ」
素早く剣を一本拾って、見よう見まねで構えてプリアの隣りに立つ。これで単純に二対一、不利と思ってくれれば嬉しいけど。
「どうなのよ⁉ やるってえの!」
なんで急に強気になるの。挑発してるみたいで傷男が意地になっちゃうかもしれないじゃないか。やんなっちゃうなあ。
けど、傷男は一歩後ろに下がった。
それに、周りも見物してはやしはしてるけれど、加勢する様子はないみたいだ。いいぞ。
「おれたちはおじさんのこと何も知らない、リロのことだってわかんない。それでもやるの?」
ここでおれが一歩、プリアが三歩前に出た。
傷男は剣をおさめると背を向けてさっさと歩きだして、一度も振り返らないうちに見えなくなっていっちゃった。
「は、どうよ!」
威張らないでって。まあ、おさまりはしたけど、逆にそれがちょっと不安だね。
あの傷男、まわりの声にも全く反応しないで静かに逃げていってた。なんかそれが、フツーじゃない感じがするんだよね。チンピラにしては……そもそも何が目的だったんだろう。
カツアゲ? 威張るために売名? ただなんとなく? う~ん、おれたちの立ち位置がどうにもはっきりしないなあ。
聞いてみようにも、周りはもう解散ムードだし。う~ん、ここですっぱり話しかけられればなあ。
「私はフェノプリア! この世を制するものよ!」
「やめなよ」
これ以上注目を集めないうちに、おれはプリアを引っ張ってその場を離れた。途中で剣を持ち逃げしちゃったことに気づいたけど、戻るのもあれだし仕方ない。
まずは、どうにか肉とか毛皮をお金に替えよう。それから情報収集を改めて、それがいい。
屋根があるっていうのはいいものだね。壁もあって、窓もあって、おまけにベッドまであれば言う事はない。
けど、これに加えてテレビも暖房も冷房もネットもあった元の世界の家はもっといい。ああ、帰りたいよおお父さんお母さん。おじいちゃんおばあちゃんにも絶対に会いに行くからね。
「みすぼらしい宿よね」
「安宿だもんねえ」
しかし、リロはともかくプリアは故郷のこととか何も感じないのかな。それも含めて何かされてるとしたら……おれはやっぱり何か違う気がする。他のプレイヤーにも会ってみたいね。




