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強欲と強欲 10

 立ってたのはおじさん……というにはちょっと若いかなってくらいの男だった。


 あんまり仲良くなりたい感じはしないね、目つき、顔つき、体つき、どれをとってもチンピラっぽい。大体上着をすっごいはだけさせてるし、こういう人が真面目だってことはあんまりなさそう。


 それと、はだけてる胸のすごく大きな傷あと。ピンク色でぷくりと浮かび上がってて、すっごく生々しくて怖い。漫画みたいな傷あとって中々ないよね、こう、格好いい傷っていうかさ。

 

 そして腰に剣を差してる。う~ん、やっぱり普通に武装はできるのかな。


「どうなんだよ」


 声もチンピラっぽいね改めて聞くと。なんていうか高めで軽いくせにしゃがれてもいて……まあとにかく見て聞けばチンピラか危ない人以外の何物でもないってわかると思うよ。


「イベント~」


「うるさいっ」


 リロめ……ともあれ、これってイベントであることは間違いないよね。悪いことをしてる村を探ってたら、悪そうな人にからまれる。動き出したかな。


「ゆー、お金」


「あのね……」


 本当にプリアは……、てかお金ないってまだ気づいてないの?


「聞こえねえのかよ」


 そういって傷男がプリアを蹴りつけた。


 けど、その蹴りは彼女に当たらなかった。その前に、殴り飛ばされて派手に倒れて転がったから。


「むう……」


 ん……どういうべきかわかんないな。先に手を出したのは傷男だけど、先に当てたのはプリア。おれの立場を別にしても、プリアを応援したくなるね。


「ってえなあ」


 それほど傷男がダメージ受けてるように見えないこともあるね。血の混じった唾を吐いてるけど、ふらつきもしないで立ち上がってる。


 逆にプリアはショックを受けてるみたいだ。パンチが効いてないからかな。


 周囲の反応はというと、ほんどが足を止めてこっちを見てる。やだなあ、わくわくしてる感じがするし、やっぱり野次馬根性だよ。さっきの剣闘を思い出しちゃうじゃないか。


 傷男は剣を抜いてきた。プリアも剣を向けてピリッとした空気が張りつめてくる。まだ買ってない剣だけど。


「女神はいんのか?」


「いるよお」


 変なことを聞いてきた傷男にリロが答えるけど、当然彼には聞こえない。おれに向かって言ってるんだ、つくづく性格が悪いんだから。


「知らないわよ!」


 プリアも、もうちょっと冷静に対応してくれないかなあ。おれも人のことは言えないけど。


 あ、店主が逃げていく。かき集めてかついでいってるのは値打ちものかな? 他の売り物や屋台はまあどうとでもってこと?


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