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強欲と強欲 7

「むぐっ?」


「そう猛るな」


 ところが、おれはスロポスさんにむんずって顔を掴まれて持ち上げられちゃった。暴れるどころじゃない、ちょっと力を込められるだけで頭がぷちって潰されちゃう感覚を前にして、そんな元気は全然出て来ない。


 貴重な経験だろうけど、全然うれしくないなあ。というか、この世界の全部がそうなる気がするよ。ここで起こったこと全部書き出してみても、きっとすごい人が考えた本とかゲームとか漫画の方が面白いと思う。


「むううう」


 っと、プリアも一緒に捕まってた。やっぱり暴れるだけ無駄だね、少しは落着けそうだよ。


 それを察してくれたのか、スロポスさんは力を緩めておれたちを介抱してくれた。


「今のまま向かっても勝てない。いくら『神訪人』でもな」


 スロポスさんが勝てないないなら、それより弱いだろうおれたちはそうだろうね。でも……


「じゃあ、なんでおれたちに声かけたの?」


「『神訪人』はごく短い間に驚くほどの力を増す、それも魔法とも違う特異な力をだ」


 なるほどね、女神たちの気まぐれ(ソルタ・レーオ)やスキルのことを言ってるのかな。だとすると、この世界にある魔法はそれらよりも弱いんだね。


「女神たちが呼んだんだもんねえ」


「拉致したんでしょっ」


 リロを忘れてた、相変わらずついてきてて茶々を時々入れてくるんだ。


「けどねえ、そいつがゆーたちにすがってるのはねえ、他に相手がいないからだよお。ゆーたちよりすごいやつらなんて、いっぱいいるんだもん」


 むう、頭にくる言い方だなあ。そして、なんだか寂しい気分になるじゃないか。スロポスさんもだけど、おれだって向こうですがれる人なんかお父さんとお母さんくらいしか……だめだめ、暗い気分になっていいことなんかないんだから。


「それに期待している」


 リロとの時間停止おしゃべりタイムのおかげで、スロポスさんは何もなかったみたいに話を続けてくれてる。


「見てなさいよ……」

 

 どうもプリアは、スロポスさんを好きになれないみたいだ。まあ、おれも信じ切ってるってわけじゃないけど。何かで見たけど、こうやって依頼してきた人が裏切ってたり何か隠してたりってこともあるしね。


 ともあれ……あのひどい光景は止めないとおれが嫌な気持ちのままになっちゃう。


「ちょっと、行ってみよっか」


 はじめての町だ。クールにクールに、少し情報を集めて見ないとね。


「森で落ち合う」


「わかったよ」


 スロポスさんは見た目に似合わない軽い動きで森へと走って行った。なるほど、あれだけ大きくて速いんだから強いよね。象みたいなものかな。


「なんかあのオークってぶっきらぼうじゃない?」


「そういうもんなんじゃないかな」


 お礼とか、謝るとかをそういえばしない気がする。まあでも、捕まってる人たちを助けたいっていうんだから、悪い人じゃないよ。


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