足は大事 5
「あの山に登る」
チクバさんが指さしたのは遠くに見える山だった、う~ん、まだまだ結構ありそうだね。しかも、ついたらついたで登らないとダメだし。あーあ、戻ったらウォーキングとか絶対に登山は趣味にしないようにしよう。もう一生分以上歩いてる気がするし。
けど、元の世界だって昔はこういう風に歩くしかなかったんだよね。昔の人は丈夫だったんだなあ、おじいちゃんも車に乗れるようになったのはお父さんが生まれてからって言ってたし。
そう思うと、おれだってやれそうな気がする。ぶつくさ言っても進まないしね。
「う~、きっついね」
「疲れたっ」
「一休みしようよ、ゆー」
「ペースを考えてくれ」
なのにこの人たちは……ムーラさん以外ぶーぶー言ってさ、特にスルグさん、自分でやろうって進めておいてなにさ。
「腹が減った」
「確かに、そもそも空腹と言うのは栄養補給が必要とのサインであり、欲求はすべからくそういうものなのです。現に私ののどの渇きは―」
「わかったわかった」
まあ、正直おれもお腹空いてきたし、ご飯を食べるのは―
「わわっ?」
風―いや、突風。
強い風の力がおれたちを地面に向かって押し付ける。太陽が陰って、何か大きなものが空を通りすぎていった。早くて全然見えなかったけど。
「グリフォン」
チクバさんが言う。今のが? 思ってたより大きいし……羽ばたきでこの力、すっごく強くない? 『監定士は嘘を吐かない』で認識できなかったのがもったいないね。
「あの山に巣があんの」
なるほどね……でもチクバさんが大丈夫って判断したんだし、それほどビビりは……
「やばいんじゃないか?」
「でかかった」
「し、死ぬのは嫌だよ」
……知らないっ。
それから散開して、ご飯を探した。携帯食料を食べようってスルグさんが主張したけど、これはもう本当に動けないとか周りに絶対に食べ物がないときにとっておかないとね。そういうものでしょ。
『監定士は嘘を吐かない』を持ってるのはおれとプリア、キフォンさんにマイさんだったから、4つにグループを分けて探すことになった。集まったら、さらに一番スキルのレベルが高いおれが観察して仕分けする。案の定、毒を持ってる動物が混じってた。
情報ってやっぱり大事だよね。
できればスルグさんたちのスキルにも口出ししたいけど、それはおいおいにしよう。どうなるかわからないし。
でも、ポインさんがいてくれたのは良かった。『舌に喜びを』のおかげで、トコアシドリの丸焼きがすっごくおいしかった。味付けだって塩だけなのに。コックのチクバさんといい勝負じゃないかな? いや、所持金半分のことを考えると、ポインさんのほうが上かもしれない。
あれだね、戦いよりも国ができてからの料理人とかの方がポインさんは輝けるような気がする。でも、そんなポインさんでもやっぱり世界統一は目指してるんだよね。
どうも全員、そこはゆずれないみたい。一人くらいはそんなのどうでもいいから、静かに暮らしたいって人がいそうなものだけど。最も、そういう人はリロが呼ばないか。




