強欲と強欲 6
モニモス。連合国家で、4つの国からできてる。名前はその中でも有力な国からとっているが、小国と言っていい規模で、人口は少なく軍事力も弱い。ただ、資源の類もなくいわゆる辺境に位置することから大国に狙われたことはなく、隣国との小競り合いはあるものの概ね平穏が保たれている。国旗は輪となっている4匹の猛禽が記されている。
主産業は農業で……やめやめ、全部読んでても仕方ないや。ともかく小っちゃい国だってことだね。
とはいえ、こうやって実際にその一部を見ているだけだと、とてもそうは思えなかった。家はいっぱいあるし人もたくさんいる。畑だって市場だって結構すごい。結局何と比較して大きい小さいかだよねえ。今見てるこの村だって、地図とかだと名前も載らないくらいだけど充分大きいもん。
「あれだ」
おれたち&スロポスさんは、少し離れた丘からそのモニモスの村を見てた。道を知ってる人がいたおかげで、あっさりと森を出れたのは嬉しいけどなんか悔しい。
そして指さす先には、そのスロポスさんの目的である剣闘の会場があって、見物客と敷居で囲まれてる中に戦っている人の姿があった。
オークじゃないね、おじさん同士で……うわっ、血が出て……。
いや、それは剣闘なんだから剣で闘うわけであって……でも、これって……。
あ、ケガしたほうのおじさんが下がろうとして、見物人に石投げられて……。なんだよ、これ。
「儀式と聞いた」
スロポスさんがおれに語りかけた。
「敵国の捕虜や罪人を戦わせ、流れた血と落ちた命でもって刑罰とする」
「なん―」
ケガしたおじさんの片手が切り落とされた。血がたくさんでて……それよりも、落ちた手がまだ剣を握ってるのが、どうしてか目から離れない。
残った手をやめてっていうように突き出しているのに、もう一人のおじさんは剣を今度は顔に刺した。
すると、抜けなくなったのか刺されたおじさんはそのまま逃げだして、敷居へ走っていった。乗り越えようとするのを見物客たちが妨害してる、長い棒でおじさんをめちゃくちゃに叩くんだ。
おじさんはしばらくは元気そうだったけど、棒で顔にささった剣を叩かれると急にへたり込んじゃった。どんどん血が流れていって、地面が濡れていってる。
ひどい光景だよ。でも、やっぱりおれは気絶したりも吐いたりもしなかった。
ただ、猛烈に怒りたくなった。
見物客が喜んではしゃぐ姿が……だめだ、どうしても許せない。おじさんたちは捕虜とか犯罪者のはずだけど……でも、あんな楽しそうにしてる周りの連中は……。
「いくよ、プリア」
「え?」
きょとんとするなよ。いらいらしちゃうでしょ。
「『未来を握り合う手』と『黒ノ鉄巨兵』で見物客を倒して、捕まってる人を助けるんだよ」
「え? で、でも……」
「やるんだよ!」
どうしてかな、おれはじっとしてられなかった。ゲームの中だってわけってるはずなのに、でも、こんなの見せられて……どうにかできる力があるなら、どうにかしたくなるよ。




