第一章7 やっと魔法が使えた。
〜5日後〜
「ファイア、ファイア。」
今日もレオンは魔法の練習をしていた。
「やっぱりまだ火が出る時と出ない時があるガスね。」
ウブラは床に寝転がってそっぽを向いている。もう完全に興味を無くしている。
「何で出来ねぇのかな。ってか見てくれよ!」
「どうせ、まだ時間はかかりそうだしいいじゃないガスか。その感じだと、後何日かは絶対にかかるガス。」
「なら教えてくれよ!どうやって師匠はどうやって出してんだよ。」
「うーん、それはガスね。」
床に寝転びながら、手のひらを上に向けている。
「火をイメージして、火出ろ!って強く思ってやってるガス。ほら出来たガス。」
目を閉じたイメージをしたのだろう、ウブラの火出ろ!の言葉で手のひらから火が出ている。
「俺だってやってるわ!何でそんな簡単に出来んだよ!自慢か!自慢なのか!」
「こればっかりは説明しようにも出来ないガス。」
こちらを向き、失笑しながら肩を上げ分からないという手の仕草をしている。
「はぁーどうすれば出来るんだ。」
頭を抱えて寝転がり、出来ない時と出来る時の違いを振り返ってみる。
「あっ!分かったかも知れない。」
そう言うと直ぐに立ち上がりイメージをする。
「ファイア!」
するとレオンの手のひらには小さな火が灯っている。
「師匠、分かったよ俺!」
「どうせたまたまガス。」
今までの事があるので信じられるはずがない。
「見とけよ師匠。ファイア」
また火が灯っている。今までに出来ていなかった事が出来ていた。
「!。よかくやったガス。次はこの前言った通りその火を大きくしてみるガス。」
「楽勝!」
小さかった火がみるみる大きくなっていく。
「あれだけ手こずっていたのに、どうやってそこまで成長したガス?」
ウブラの目が飛び出している。
「それはだな。コツを掴んだからだよ。」
地球には魔法を使える人が一人もいなかった。だからこそ初めて使うレオンは苦戦していたのだ。初めは火のイメージをして言葉を唱えれば突然火が現れると思っていた。しかしそれは間違いであったのだ。魔法とは自分の中にある魔力を形にして放出する物だったのだ。つまりイメージとは魔力を形にして放出するって事だったのだ。
簡単に火を大きく出来たのはウブラのおかげだ。魔法を手こずっている時に魔力はでていた、と言っていたことを思い出した。この小さな火に魔力を加えると大きくなる。ただそれだけだ。
「魔法はもう大丈夫そうガスね。」
「後は剣と組み手で俺に勝てたら晴れて合格ガス。」
「そうだな。俺だって成長してるだ。明日こそは絶対に勝ってやる。」
「楽しみにしてるガス。」
〜翌日〜
「貰った!」
ウブラの持っていた剣を弾き初めて一撃を与える。
「よっしゃ!初めて勝った!」
「まさか避けられるとは思って無かったガス。」
「これで剣も次の段階に行けるガス。」
「まさかまだあるの?」
「これからは全て本気で行くガス。大分痛いと思うけど頑張って俺に一撃を入れるガス。」
今の構えを見ると今までウブラが手加減をしていた事がすぐにわかる。今でとは圧が違う。この場所が一瞬で息がし辛くなり、緊張がはしる。今まさにこの場所で命のやり取りをしているように感じる。
「ふー。はぁー!」
「大丈夫ガスか?コレを飲むと良いガス。」
倒れているレオンはウブラに緑の液体が入っているビンを渡される。
「何だコレ?緑の液体なんだけど。飲んで大丈夫なのか?」
「ゴクゴク、、、にっが!」
凄く苦かった、苦丁茶ぐらい苦かった。あの団子はすげー甘いしコレはめっちゃ苦いし、この師匠が持ってくるものって全部、普通じゃないんだよな。
「コレはな俺特製の痛みを治すポーションガス。どうだ痛くなくなったガス?」
「ほ、本当だ。さっきまで痛かった所が全然痛くない。」
さっきまで打撲の跡だらけだった体から打撲の跡が綺麗に無くなっている。
「治ったなら、組み手行くガス。」
「コレも勝つ!」
「組み手はまだまだガス。」
「もう一回!」
その後も何度も負けては何度も挑むが一向に勝てる気配がない。
「何で勝てないんだ?」
「こればっかりは回数を重ねて慣れるしか無いガス。」
「じゃ、ラスト100回ぐらいやっとくか。」
「それはラストって言わないガス。」
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本作「異世界でも不運なのかよ!!!。」
を読んでいただき誠にありがとうございます。
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