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第一章7 やっと魔法使えた!

    第一章 最悪の転移場所


    第一章7 やっと魔法使えた。


「ふぁー、さてやるか。」


 この里に来て早いこと、一ヶ月が経った。

 この一ヶ月でレオンの生活は非常に変わっていた。 

 まずいつもなら日が昇る頃にクロに起こされていたが今では日が昇る前に勝手に意識が覚醒し、薪を割りに行っている。

 あの料理とも呼べるのか分からない物体を食べると意識が飛んでいたが、今では意識が飛ばずに食べれる様にり、だんだん美味しく感じて来た。

 特にこの一ヶ月の間に見て分かる変化と言えば、体つきだ。以前も良かったと思うのだが、あの地獄の様な稽古で、前以上に良くなっていた。

 だがこれだけやっても変わらなかった物がある。それは魔法だ。一ヶ月の間、あれだけ魔法を唱えても未だに成功例が一度も無い。

 そしてもう一つ、それは剣でウブラにはまだ一撃も当てれていない。


「ガッガッ」


「ふぅ〜薪割り終了。」


 薪割り場所に着くと初めの頃より明らかに早いスピードで必要分の薪割り。颯爽と家に帰る。

 

「ただいま〜。」


「お帰りっす。丁度今、朝ご飯が出来たところっすよ。」


「おっ!そっか、じゃあ、いただきます!」


 いつの間にかこのよくわからない物も意識も飛ばないし、抵抗なく食べれるようになって来たな。もしかしなくてもこれって重症なんじゃ。

 まぁ、気にすることないな。美味いし。


「ご馳走様!師匠の所に行ってくるわ!」


 食べた食器を綺麗に洗って、毎朝元気よくギルドに行くのが今では日課だ。


「今日も頑張るっすよ。」


 クロはレオンが出かけるといつも玄関まで来て「頑張れ」と言って、見送ってくれる良いやつだ。

 そんなクロを見てレオンはいつも元気を貰っている。


「行ってくるわ!」


 そう言うとレオンはギルドの方角に向かって走り出し、レオンの背中はいつの間にか見えなくなっていた。


「今日も来たぜ!師匠!」


 ギルドの扉を勢いよく開け、奥の扉の向こうにいる師匠に聞こえるように大声で挨拶をする。これもいつの間にか日課になっており初めこそ注目され変わり者の目で見られていたが、今はギルドにいるみんなレオンのことを可愛がっており、友達だ。


「よぉ!レオン、今日も元気がいいな。」


 ギルドの奥のテーブルに座っている酔っ払いが話しかけてくる。


「当たり前!だってまだ一回も魔法撃ててないし師匠に一撃も当てられてない。だから「今日こそ!」って思ってるからな。そんな事でも考え無いと面白くないだろ。そんな事より朝から酒か?程々にしとけよ。」


「わかってらい!」


 そんな他愛の無い会話を終えると、奥の扉のドアノブに手をかけ扉を強く押す。


「今日こそ勝ってやる!」


「その前に走ってくるガス。」


 レオンの意気込みは冷静なウブラに寄って虚しく散る。


「今日は何周走ればいいんだ。」


「35ガス。」


「ゲッ、また増えたよ。」


 レオンはこの一ヶ月の間、一日も欠かさず過酷なトレーニングメニューをしていた。その分、当然だんだん過酷なトレーニングメニューが苦痛でなくなる。つまり体が成長し、その環境に適応するのだ。そのことを分かっているようにウブラは適切なタイミングでどんどんメニューを過酷にしていき、レオンの体に負荷を与え続けた。勿論、休憩など一切ない。


「行ってくるわ!」


 扉を勢いよく開けて走り出して行った。


〜数時間後〜


「ただいま!次は?」


 レオンは疲れた様子をしているが初めの頃よりは疲れていない、それどころかイキイキしている。


「筋トレ10種類100回目50セット」


「りょ」


〜数時間後〜


「99、、100!終わった!」


「次は!次!」


 筋トレを終えたレオンを見えいると、どこか子供が次「なにするの?」と言うキラキラとした目をしているように感じる。


「お前は子供ガスか!」


「ちげーよ!17だ!」


 レオンは楽しくて仕方無い顔をしている。


「ほら、早く剣を持つガス。」


「おう!」


 レオンの構えを見るともう剣道の構えは微塵も感じられない。レオンは何度も負けている手合わせの中で気づいたのだ。この構えはこの世界では通用しない事に。だからこそ今はウブラに剣の構え方を教えてもらい、前まで防げていなかった、ウブラの剣を防げるようになり、少しは太刀打ちできるようになったが未だに一撃も与える事ができない。


「ッツ、これならどうだ!」


「遅いガス!」


「カラン、カラン」


 しっかりと持っていたはずの剣が遠くまで飛ばされる。


「クソ!また一撃も入れれなかった!」


「次、組み手行くガス。」


「おっしゃ!」


 初めは動かないハンデがあっても全く手出しが出来なかったレオンだが今は全く当てられなかった攻撃も20回に一回は当たるようになっていたがハンデがあっても一度勝てた事がない。


「また負けた!」


「次、まだ一回も成功してない魔法行くガス。」


「一言余計だ!」


「ファ、イア。」


「バタン!」


 また床に倒れている。魔法は未だに撃てていない、だか。確実にわかっている事がある。それは初め4、5発打つと倒れていたのに今では50回打って倒れるようになっていた。  

 魔法は打てないけど魔力だけ上がって行く。これはレオンにとってやりがいを感じる嬉しい事だ。


「ほら、食べるガス。」


「もぐ、、、あっま!」


 この食べ物の甘さには未だに慣れていない。クロの料理は食べれるのに、この団子だけはいつ食べても「あっま!」と言ってつい

しまう。


「ファイア、ファイア、クソ、出ろ!出てくれ!ファイア!!」


「!!」


「ちょっと出た!!」


 それはほんの少しだった。マッチの火ぐらいの大きさだったが、レオンは感動してしまう。だってそれは何千回も唱えても出来なかった物が、諦めかけていた物が、小さい火であったが出来たのだから。

 だからこそレオンの目は潤っていた。


「見たか!師匠!ちょっと出た!!」


 初めて魔法を出せたことに喜び、いつも以上にテンションが上がってしまう。


「やっとガスか。それぐらいで泣くなガス。まだ魔法の初歩にも辿りついて無いガス。」


「泣いてねーよ!」


 潤っていた目を擦り強がっている。


「次の段階に行くガス。次はその火をもっと大きくするガス。」


 またウブラが自分の手の平に大きい火を作り次はこれぐらいの火を出せと言われる。


「これをもっと大きく?任せろ!」


「って言ってたのに結局小さいままだったガスね。」


「やめろよ!恥ずかしいだろ!」


「今の俺ならなんでも出来る!って思ってたんだよ!」


 結局あの後、何度も唱えたが火が出たり出なかったりしていて、火が出でも大きくすることは出来なかった。


「だけど明日から大丈夫だ!コツは掴んだ。だから百発百中で火はだせる!」


「何を根拠にそんな事言い張れるのか本当に不思議ガス。」


「とりあえずこれで終わりガス。早く帰るといいガスよ。」


「じゃあな、師匠また来るわ。」


 挨拶を終えると扉を開き帰る準備をする。


「終わったのか?レオン。」


 依頼から帰って来て飲み食いをしているパーティーの人達がレオンに話しかける。


「おう!聞いてくれて!今日な初めてちっちゃいけど火が出たんだ!」


「おっ!やるじゃねぇーか。どうだ?祝いに一杯奢ってやろうか?」


「辞めとくよ。俺まだ17だし、それに家でクロが待ってることだし。」


「そうか。じゃあさっさと帰ってやれ。」


「おう。また明日な!」

 

 扉を開け、急いで家に帰る。


「お帰りっす、レオン。」


「ただいま。聞いてくれて、クロ!」


 レオンは今日あった出来事を全て話している。これは今日だけではなくこの一ヶ月ずっとレオンの話を聞いてくれている。


「マジっすか!ようやく出来たんすね。」


「なら、今日は祝いの日っすね。料理は豪華にするっすよ。」


「ナイスだ!クロ。俺は薪割ってくるわ。」


「頼んだっす。」


「今日もやるか。」


 薪を割る場所に着くとレオンは静かに瞑想し始めた。レオンはいつもこの場所に着くと頭の中でウブラと戦っている。正確に言うと頭の中でウブラを作りウブラの動きを戦い方を全て当てはめる。簡単に言うと頭の中でウブラのコピーを作りそのコピーと何度も戦っているのだ。


「クソ、また勝てなかった。」


「いつになったらハンデのある師匠に勝てるんだ。」


 草の上に寝転びながらそんな事をいつも考えては逃げるように空の美しさを呟いてしまう。


「今日も綺麗だな。」


 空を見るといつも綺麗な星が沢山ある。レオンが住んでいた場所では絶対に見れない光景だ。


「薪割って帰るか。」


 薪を急いで割りすぐに走って帰って行く。


「ただいま。」


「お帰りっす!ご飯、出来てるっすよ。」


 玄関を開け中に入るとそこにはクロがご飯を机に置いて待っていた。

 クロはいつもご飯が出来ていても食べずにレオンの帰りを待っていてくれる。

 そんないつもがレオンにとって居心地の良い場所になっている事をレオン本人はまだ知らない。


「じゃあ、食うか!いただきます。」


「いただきますっす。」


 二人とも豪華?な食事を躊躇なく口に運んでいる。もし、ここに誰かいるなら絶対に引いているか止めているだろう。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


本作「異世界でも不運なのかよ!!!。」

を読んでいただき誠にありがとうございます。


どうか今後も末永く読んで頂けると嬉しいです。


また誤字、脱字、感想などをお待ちしております。


今後とも本作を書いていくための強力な力の源になります。感想、評価をしてくださった方、本当に感謝しております。ありがとうございます。


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